今年は小田原市で開催!「ソーラーシェアリングサミット2025」開催レポート:ソーラーシェアリング入門(72)(1/2 ページ)
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説する本連載。今回は2025年7月4〜5日に小田原市で開催された「ソーラーシェアリングサミット2025 夏の陣」の様子をレポートします。
2016年から開催されている全国ソーラーシェアリングサミットの第8回大会となる、「ソーラーシェアリングサミット2025 夏の陣」が、7月4日から5日にかけて神奈川県小田原市で開催されました。
今年に入って食料・農業・農村基本計画や第7次エネルギー基本計画、新たな地球温暖化対策計画など、さまざまな政府計画で営農型太陽光発電の推進が盛り込まれるとともに、「望ましい営農型太陽光発電に関する検討会」の議論も進んでいます。
今回はこうした状況の中、営農型太陽光発電について「現実的な課題の解決」と「地に足の着いた議論」を掲げる同サミットの場に、多くの関係者そして関心を持つ方々が集ったイベント当時の様子をまとめます。
開催概要と当日の様子
小田原市での全国ソーラーシェアリングサミットの開催は、2018年の第3回大会以来となる7年ぶり。今回はおだわら市民交流センター「UMECO」にて、7月4日の午前に2つの専門分科会、午後に全体会として基調講演並びに2つのトークセッション、そして翌5日にはエクスカーションとして小田原市内と開成町で小田原かなごてファームが運営する営農型太陽光発電の現地視察会が行われました。
4日午前の専門分科会は、第一分科会が「農業生産」と第二分科会が「地域脱炭素」をテーマに、それぞれ3人の登壇者を迎えての発表を行いました。「農業生産」は、カネヘイファームの後藤繁生氏、千葉大学大学院園芸学研究院の深野祐也氏、山形大学農学部の繻エ良樹氏が登壇。「地域脱炭素」は、陸前高田しみんエネルギー株式会社の小出浩平氏、小田原市環境部の渡邉聡氏、ヤンマーホールディングス株式会社の中野年章氏が登壇しています。
私は第一分科会の司会を担当しましたが、10時の開始冒頭から満席となるほどの盛況ぶりで、営農型太陽光発電における農業生産というテーマに対する関心の高さが伺えました。後藤氏からは静岡県富士宮市でのお茶や果樹の営農型太陽光発電実践に関する報告、深野氏からは営農型太陽光発電における作物生産の多面的機能に関する報告、繻エ氏からは山形県酒田市で実施した、水田を利用する営農型太陽光発電設備における米の栽培実証や、発電設備の景観的受容性などの研究に関する報告が行われました。
午後の全体会では、基調講演者として千葉大学大学院社会科学研究院の倉阪秀史氏から「脱炭素スマート農地を目指して」、一般社団法人全国農業会議所の稲垣照哉氏から「市町村農業振興・農業委員会の現場からみたソーラーシェアリング」、そして私から「食料安全保障の確立と農業・農村振興に向けたエネルギー自給戦略」と題した講演が行われました。
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