2026年度開始の排出量取引制度 「排出枠」算定に業種別ベンチマークを活用へ:第1回「製造業ベンチマークWG」(1/4 ページ)
2026年度から始まる排出量取引制度。対象事業者に対する「排出枠」の割当方法の検討に向けて、政府は「製造業ベンチマークワーキンググループ(WG)」を新設。製造業におけるベンチマークの適用対象の特定と、割当量の算定式の具体化に向けた検討を開始した。
改正GX推進法の成立により、CO2の直接排出量が10万トン以上の事業者は、2026年度から排出量取引制度への参加が義務付けられることとなった。
本制度では対象事業者に対して、毎年度の排出実績と同量の「排出枠」を保有することを義務付けており、排出枠の割当は「ベンチマーク方式」又は「グランドファザリング方式」のいずれかにより行うこととしている。
ベンチマーク(排出原単位)の算定に必要となる活動量の定義や対象プロセスの範囲は業種ごとに異なるため、所管大臣はベンチマーク対象分野を定め、ベンチマークの算定式を設定する必要がある。
経済産業省は、排出量取引制度小委員会の下に「製造業ベンチマークワーキンググループ(WG)」を設置し、製造業におけるベンチマークの適用対象の特定と、割当量の算定式の具体化に向けた検討を開始した。同WGの第1回会合では、まずは3つの業種(石油精製業、石油化学工業、紙パルプ製造業)におけるベンチマーク案が示された。
ベンチマークによる排出枠割当の考え方
ベンチマーク方式は、これまでも省エネ法等において広く使用されており、2026年度開始の排出量取引制度においても、基本的には省エネ法で設定されたベンチマークの考え方を準用することとしている。
一般的にベンチマーク指標は、活動量を分母として、当該製品の生産プロセスにおいて発生するCO2排出量を分子とした排出原単位として定義される。
ただし、具体的にどのような活動量や対象範囲(バウンダリー)を用いた算定式とするかは、業種ごとに大きく異なり、制度の公平性(多様な削減努力が評価されるか、削減努力以外の要因で差が生じないか)や執行可能性(事業者による算定や、登録確認機関による確認が困難とならないか)の観点から検討する必要がある。
なお本制度では、一度定めたベンチマーク水準が固定されるわけではなく、あらかじめ5年程度先までベンチマーク水準の段階的な引き下げを設定することにより、排出削減に向けた着実な取組を促していく仕組みとしている。
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