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容量市場の2026年度追加オークション、一部エリアは目標の供給力に届かず(1/4 ページ)

2025年7月末に、容量市場の追加オークション(実需給年度:2026年度)の結果が公表された。容量提供事業者を追加で募集する「調達オークション」が全国エリアを対象に開催されたのは、今回が初となる。

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 容量市場の追加オークション(実需給年度:2026年度)が2025年6月に開催され、その約定結果が7月28日に電力広域的運営推進機関から公表された。追加オークションとは、メインオークション実施後の想定需要や供給力の変化を踏まえ、実需給年度の1年前に実施するオークションであり、今回は容量提供事業者を追加で募集するための「調達オークション」が実施された。

 昨年度の追加オークション(調達オークション)は「北海道・東京・九州」の3エリアのみが対象であったが、今回初めて、全国を対象とした調達オークションが実施された。

 2026年度を実需給年度とする2022年度メインオークションの当初契約容量は1億6,271万kWであったが、その後の▲533万kWの市場退出等により1億5,738万kWとなり、調達オークションの開催時点における確保済み供給力は1億8,163万kWであった。目標調達量1億8,679万kWや上限価格等を表した需要曲線は図1のとおりである。


図1.調達オークションにおける需要曲線および供給力 出典:広域機関

約定処理上の市場分断

 今回の追加オークションにおいて、需要曲線と供給曲線の交点における全国の「供給信頼度」は0.007kWh/kW・年となった。供給信頼度とは需要1kWあたりの年間供給力不足電力量(kWh/kW・年)の期待値(EUE)を表す指標であり、この数値が大きいほど停電量(停電の可能性)が大きいことを意味している。

 表1のように、全国の供給信頼度を下回る(数値は0.007を上回る)北海道/東北/東京/中部、九州が不足ブロック(エリア)となり、北陸/関西/中国/四国は充足ブロックとなった。

 不足ブロック/エリアでは、全国の供給信頼度0.007kWh/kW・年を満たすよう電源の追加処理を行ったものの、追加量は合計4.1万kW(北海道0.1万kW、九州4万kW)に留まり、いずれの不足ブロック/エリアも不足状態のまま約定処理を終了した。実需給年度において直ちに供給力が不足するわけではないものの、実需給1年前の追加オークションでも十分な供給力が確保できなかったことは、安定供給上の課題として認識すべきであり、十分な需給状況の監視が求められる。


表1.各エリアの供給信頼度 出典:広域機関

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