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九州-中国間の新たな海底直流連系線 100万kW増強によるコストパフォーマンス評価第91回「広域系統整備委員会」(1/3 ページ)

地域間連系線整備の方針として計画されている中国エリアと九州エリアを結ぶ「中国九州間連系設備」の増強。「広域系統整備委員会」第91回会合では、その費用便益評価の結果などが公表された。

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 2050年カーボンニュートラル及びレジリエンス強化のため、電力広域的運営推進機関は2023年3月に広域連系系統の「マスタープラン」を策定・公表した。この具体的な地域間連系線整備計画の一つが、中国エリアと九州エリアを結ぶ「中国九州間連系設備」(いわゆる関門連系線)の増強である。

 同整備計画では既存ルートとは別に、新たな海底直流ケーブル(HDVC)を設置し、運用容量は以下を予定している。現時点の工期は11〜13年6カ月程度、概算工事費は約4,412億円と想定している。

  • 九州から本州向き運用容量:現状の278万kW(最大)から100万kW程度増加
  • 本州から九州向き運用容量:現状の23万kW(最大)から100万kW程度増加

図1.中国九州間連系設備の工事概要 出典:広域系統整備委員会

 再エネ大量導入やレジリエンス強化のために重要となる地域間連系線等については、国民負担抑制の観点から費用便益の評価を行い、系統整備・増強の必要性を判断することとしている。

 広域機関の「広域系統整備委員会」第91回会合では、中国九州間連系設備増強の効果について新たな費用便益評価の結果が示されるとともに、費用負担の割合が整理された。

系統増強効果の評価の考え方

 費用便益評価は、系統増強による便益(Benefit:B)と系統増強および運用に係る費用(Cost:C)を比較(B/C)することで行い、通常、B/Cが1以上であることが求められる。今回の中国九州間連系線では、工事費4,412億円に、運転維持費(修繕費・その他経費等)を加えた総額(後述の表4)を年経費率にて考慮したものが、費用(C)となる。

 費用便益の評価期間は、今回整備する主要な設備(交直変換所等)の法定耐用年数22年と、標準的な期待耐用年数を踏まえた40年間の、2つケースを用いて分析する。

また、将来の貨幣価値を現在価値に換算する際に用いる割引率は、公共事業評価手法も参考として、実質利子率を踏まえ、4%・2%・1%の3つのケースを用いて分析する。


図2.費用便益評価に用いる評価期間・割引率 出典:広域系統整備委員会

 また、系統増強の便益(B)には、貨幣価値で表すことが可能なものと、現時点、貨幣価値で表すことが困難なものがある。広域機関では図3のように、あくまで貨幣価値項目により費用便益評価を行い、その上で非貨幣価値項目により補助的な情報を提供している。


図3.費用便益評価に用いる価値項目 出典:広域系統整備委員会

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