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「第2次洋上風力産業ビジョン」を策定 浮体式は2040年までに15GW以上を目標に:「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」(4/4 ページ)
「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」が「洋上風力産業ビジョン(第2次)」を公評。昨今のエネルギー産業をめぐる情勢変化を受けた内容に刷新した他、浮体式洋上風力に関する新たな目標などを盛り込んだ。
グローバル市場への展開
浮体式において、国内に強靱なサプライチェーンを構築しつつ、量産投資によりコスト低減を図っていくためには、国内市場だけでなく、欧州や今後市場拡大が見込まれるアジア太平洋市場をはじめとしたグローバル市場への展開を視野に入れ、最大限の導入拡大を進めていくことが重要である。
よって第2次ビジョンでは、官民による海外展開目標を設定し、発電事業者等の技術力強化や浮体基礎等の浮体式洋上風力発電に関するサプライヤーの輸出展開のための投資促進を図ることとした。また産業界は、欧州等の洋上風力先進国の研究機関等との技術協力等に係る連携強化に加え、アジア太平洋地域への市場展開に向けて、海外との連携目標を設定し、グローバル展開を進めていく。
目標設定
- 官民連携:国内発電事業者全体で、2040年までに約30GWの海外案件に関与する
- 産業界:2030年までに欧州・アジア太平洋等10ヵ国・地域と連携する
政府はこれまで英国やデンマーク政府と協力覚書等を締結し、民間のFLOWRAでは欧州の研究機関との間で技術力強化に向けた連携が進められている。
また、浮体式洋上風力のコスト低減・量産化に不可欠となる「風車・浮体一体システム」の最適設計手法の開発及び規格の策定・標準化に向けて、FLOWRAにおいてグリーンイノベーション基金も活用した共通基盤開発が開始されている。
政府は今後も官民一体となった議論を継続し、ビジョンの実現に向けた取り組みを順次進めるとともに、必要に応じてビジョンを見直していくこととしている。
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