排出量取引制度、「鉄鋼・セメント製造業」の排出枠割当に向けたベンチマーク案:第2回「製造業ベンチマークWG」(2/5 ページ)
2026年度から始まる排出量制度。経済産業省の「製造業ベンチマークワーキンググループ」の第2回会合では鉄鋼業及びセメント製造業について、排出枠の割り当ての基準となるベンチマーク案が示された。
高炉ベンチマークの対象範囲及び割当量の算定式
高炉法では、鉄鉱石とコークスを原料として高炉で銑鉄を生成し、転炉で精錬した鋼を圧延等することにより、様々な鉄鋼製品を一貫生産している。
このうち、製銑・製鋼の工程は国内各社でほぼ共通であり、ホットメタル工程としてまとめることが可能である。
よって、高炉ベンチマークの対象範囲の一つとして、事業所に搬入された原料からコークス炉、焼結炉、高炉・転炉、連続鋳造により粗鋼を生産するまでのホットメタル工程を「上工程」と位置付けることとした。なお高炉一貫CO2排出量全体の9割超が、上工程から排出されている。
上工程では、最終製品の違いによる生産設備構成の違いは小さいため、「銑鉄生産量当たりの排出原単位」をベンチマーク指標とする。
また、粗鋼を圧延工程等により最終的な鉄鋼製品に仕上げるまでの製品工程を「下工程」と位置付け、下工程では製品によって工程の種類・数やエネルギー投入が大きく異なるため、「投入した燃料の熱量当たりの排出原単位」をベンチマーク指標とする。
以上より、高炉の排出枠割当量 = 上工程【目指すべき排出原単位 × 基準活動量】+下工程【目指すべき排出原単位 × 基準活動量】として、「目指すべき排出原単位」は、先述図1の上位X%に相当する水準をもとに毎年度設定される。
また基準活動量は、上工程では2023〜2025年度における各社ごとの平均銑鉄生産量、下工程では2023〜2025年度における各社ごとの投入した燃料の平均熱量とする。
なお、上工程で発生する副生ガスは、製鉄所内のプロセス燃料や自家発燃料、共同火力の燃料として有効活用されており、これが日本の鉄鋼業のエネルギー効率を世界首位とする一因となっている。よって、下工程で利用する副生ガスは下工程ではカウントせず、すべて上工程に帰属させることとする。ただし、共同火力等他の事業者に外販している部分は別途検討予定としている。
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