排出量取引制度、発電事業者の排出枠割当に向けたベンチマーク案の方向性:第2回「発電ベンチマーク検討WG」(3/4 ページ)
資源エネルギー庁の「発電ベンチマーク検討ワーキンググループ」の第2回会合が開催。排出量取引制度における発電部門向け発電ベンチマークの「対象者」や、「対象範囲(バウンダリー)」に関する検討が行われた。
発電ベンチマーク水準の考慮
また、発電ベンチマークを「火力平均」「燃種別」いずれにするとしても、ベンチマーク水準の強度やその設定方法次第では、石炭火力だけでなく相対的に排出係数の低い従来型LNGであっても、排出枠コスト負担が大きくなることも懸念される。
このため電気事業連合会では、第2フェーズの発電ベンチマーク水準(規制強度)を、調整力も含めた安定供給を考慮した、適切な水準とするよう要望している。
なお、CO2排出係数の低い電源構成へ転換していくこと自体は、本来、排出量取引制度が目的とするものである。発電事業者に予見性を与え、脱炭素に向けた投資意思決定の効果が遅くとも第3フェーズにはあらわれるよう、早期の制度設計の具体化が期待される。
沖縄エリアに求められる配慮
沖縄エリアの需要規模は小さく、他エリアの電力系統と繋がっていないという特殊性を抱えており、中小規模の火力がエリア電源構成の約9割を占めている。今後も大規模な原子力や水力発電所の導入はできないなど、電源の脱炭素化手段が限られたエリアであると言える。なお容量市場や長期脱炭素電源オークションにおいても、沖縄エリアは対象外とされている。
また、沖縄が自律的に発展していくための基盤整備の一環として、沖縄振興特別措置法では石炭・LNGの石油石炭税の免税を行うなど、電気料金を適正な水準に維持するための措置が講じられている。
このため電気事業連合会では、発電ベンチマークの設定に際し、沖縄エリアについては特段の配慮を行うよう要請している。
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