ニュース
鉄道分野のGX目標設定──官民研究会が2040年に向けた基本方針を公表:「鉄道分野のGXに関する官民研究会」(2/4 ページ)
国土交通省が主催する「鉄道分野のGXに関する官民研究会」は、2040年を見据えた鉄道分野のGX推進に向けた目標設定や戦略について検討を行い、その基本方針を取りまとめた。
主要鉄道事業者と対象に省エネ目標を設定
また、既存の鉄道車両を前提として、速やかに導入可能なソフト面での取り組みとしては、省エネ運転のさらなる進化がある。JR東日本の山手線では、駅間の所要時間を変えずに最高速度を抑え、加速時間を短くし惰行の時間を長く、減速時間を短くする運転により、運行エネルギーを約10%削減している。鉄道総研では、こうした省エネの運転の考え方をあらかじめ反映させたダイヤ作成の研究も行っている。列車の自動運転技術の高度化により、再現性の高い形で省エネ運転が実施可能となることも期待される。
鉄道分野のGX実現のためには、このような技術が一部に存在するだけではなく、実際に広く普及・導入されることが必要である。
このため官民研究会では、主要鉄道事業者(JR、大手民鉄、地下鉄事業者)を対象として、省エネに関する以下の目標を設定し、環境整備を含め、官民の関係者が連携して取り組むこととした。なお、主要鉄道事業者以外の鉄道事業者においても、可能な範囲で取り組むよう努めることとする。
- 電化区間においては、次世代パワー半導体や高性能モーターを採用した高効率車両への更新・改造を加速し、原則として2035年度までに、現状で5,000両以上存在する非VVVF車両及び初期のVVVF車両(GTO方式)の置き換えを完了する。
- 各鉄道事業者において回生電力の実態把握に努め、2030年度までに車両・設備の改良等を含む回生電力の活用促進計画を策定する。
- 2030年度までに営業線仕様の超電導送電システムを実用化、2035年度までに直流電化の営業線に導入・展開することを目指す。
- 高効率車両の導入、回生電力の活用、送電ロスの低減、省エネ運転の実施等により、2040年度までに主要鉄道事業者全体のエネルギー使用量を2013年度比で25%以上削減することを目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

