排出量取引制度、「アルミ・石灰・ゴム製品製造」などの排出枠割当に向けたベンチマーク案:第3回「製造業ベンチマークWG」(3/4 ページ)
2026年度から始まる排出量制度。経済産業省の「製造業ベンチマークワーキンググループ」の第3回会合では、アルミニウム、石灰、カーボンブラック、ゴム製品製造業について、排出枠の割り当ての基準となるベンチマーク案が示された。
石灰製造業のベンチマーク
石灰とは生石灰(酸化カルシウム)、消石灰(水酸化カルシウム)の総称であり、広義では石灰石(炭酸カルシウム)やドロマイト(炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの複合鉱物)も含まれる。
国内の石灰生産量は約690万トン(2024年度)であり、石灰出荷量の81%が生石灰、用途別では鉄鋼用が約55%と最多である。石灰製品製造業において排出量取引制度の対象となる事業者は、16社と報告されている。
生石灰は石灰石を焼成、軽焼ドロマイトはドロマイト鉱石を焼成して製造し、消石灰は生石灰に水を反応、水酸化ドロマイトは軽焼ドロマイトに水を反応させて製造する。
このため、石灰製造工程全体のCO2排出量628万トン(2024年度)の9割以上が、生石灰と軽焼ドロマイトの焼成工程から排出され、このうちプロセス起源CO2排出量が約7〜8割を占めている。よって、石灰製品の対象範囲(バウンダリー)は、生石灰と軽焼ドロマイトの焼成工程とした。
これらのプロセス起源CO2については、すでに温対法の算定報告公表制度(SHK制度)において、石灰石=0.428t-CO2/t、ドロマイト=0.449t-CO2/tとそれぞれ異なるCO2排出係数が設定されている。よってプロセス起源CO2排出については、生石灰と軽焼ドロマイトで切り分け、それぞれの生産量当たりの排出原単位をベンチマークとする。
また事業者の多くは、同じ焼成炉で生石灰と軽焼ドロマイトの両方を製造しており、燃料は一括管理されているため、エネルギー起源CO2排出量を製品ごとに切り分けることは困難である。よってエネルギー起源CO2排出については、生石灰及び軽焼ドロマイトの生産量当たりの排出原単位をベンチマークとする。
以上より、石灰製造業の排出枠割当量の算定式は以下のとおりとなる。なお、製品規格や燃料種の制約がある製品に対しては、補正方法を検討する予定としている。
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