需給調整市場の一次・二次②・複合商品 2026年度の上限価格を半減へ:第108回「制度検討作業部会」(1/4 ページ)
2024年4月から全ての商品の取引がスタートした需給調整市場。しかし一部の商品で調達費用が高騰するなど、課題も指摘されている。そこで資源エネルギー庁の制度検討作業部会では、足下の取引状況の確認などとともに、2026年度以降の対応方針について検討を行った。
調整力の効率的な調達を目的として、2021年に需給調整市場を開設し、2024年4月には全ての商品(一次・二次①・二次②・三次①・三次②)の取引が開始された。しかしながら需給調整市場では、多くの商品・エリアで応札不足による約定量の未達が発生し、特に前日商品(三次②・「週間商品の前日追加調達分」)では調達費用の高騰も大きな問題となった。
このため資源エネルギー庁は、まず前日商品の募集量削減対策を段階的に実施することにより、前日商品の調達費用は次第に抑制されてきた。
前週時点で取引を行う週間商品(一次・二次①・二次②・三次①・複合商品)については、市場外調整力(自然体余力)の募集量控除を開始した2025年6月以降、市場調達費用は減少傾向にある。
また、調整力のさらなる応札量増加を目的として、2026年度から、現在の週間商品(一次〜三次①・複合商品)を前日取引へ移⾏させるとともに、取引単位を従来の3時間ブロックから30分コマへ変更(30分化)することが予定されている。
このため、資源エネルギー庁の制度検討作業部会では、足下の需給調整市場の約定実績や発電事業者アンケート結果等を確認しながら、2026年度以降の需給調整市場の対応方針について検討が行われた。
需給調整市場の約定動向
需給調整市場におけるリソース別の約定単価について、2024年度から2025年度への変化を見たものが図2である。なお現時点、前日商品(三次②)には上限価格は設定されておらず、応札量が不足する場合、高値応札でも約定するため、市場調達費用総額がかさむ一因となっていた。
この対策として、前日商品(三次②)では段階的に導入された複数の手法により、市場での募集量を削減したことにより、高単価の応札が約定しにくくなった。図2右では、特に高単価であった蓄電池の約定単価が2025年度には抑制されており、一定の効果があったと確認できる。
ただし、単純に市場調達量を減らすだけでは調整力が不足するおそれもあるため、必要に応じて容量市場の「余力活用契約」を通じた追加調達を行うこととしている。このため、余力活用による調達費用を確認したところ、前日商品募集量削減の開始以降、市場調達分と余力活用分を合算した調達費用総額は減少傾向にあることが確認された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


