アンモニアの50%混焼が可能な大型エンジン、JFEエンジが商用化:蓄電・発電機器
JEFエンジニアリングがアンモニアと重油との大型中速混焼エンジンの開発に成功。混焼比率50%で、ディーゼル専焼時と同等の熱効率を得ることに成功したという。
JFEエンジニアリングは2025年11月25日、アンモニアと重油との大型中速混焼エンジンの開発に成功し、販売を開始したと発表した。同エンジンの開発は、国内初の成果としている。
同社は船舶用機器や発電設備を手掛けるEverllence France社の4ストロークPCシリーズの最新機種である「S.E.M.T Pielstick PC2.6B CRディーゼルエンジン」をベースに、アンモニア混焼技術の開発を進めてきた3気筒試験機による重油とのアンモニア混焼実証試験を経て、このほど社会実装において現実的なアンモニア50%混焼率(熱量比)を可能とした7MW超の大型中速混焼エンジンを商品化した。
アンモニア燃料は、直接燃焼によりCO2削減が可能となるが、難燃性であるため未燃アンモニア(NH3)の低減、燃焼特性として生成する温暖化係数の高い一酸化窒素(N2O)の抑制、また燃料中に窒素に起因して発生する有害物質である窒素酸化物(NOx)の抑制、熱効率の向上が技術課題とされている。
JFEエンジニアリングではこれらの課題に対し、数値解析によるアンモニア燃焼研究を実施し、これらの課題を解決したという。また排ガス処理触媒を併用することにより、未燃アンモニアをほぼ排出させず、N2O、NOxも極小に抑えることに成功しましたとしている。なお、出力はディーゼル専焼時比で85%を実現し、ディーゼル専焼時と同等の熱効率を得ることに成功したという。
まずは脱炭素化の手法が限られる離島発電所などの発電装置としての販売を行い、市場動向に合わせて舶用エンジンに必要な船級取得を計画し、船舶用・発電用両面での販売していく計画。今後もさらにアンモニア混焼率を上げる実証試験を市場ニーズに合わせて実施し、混焼率80%での商用化も視野に入れているという。
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