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広域予備率の現状と対策──小売事業者に電力調達の「過不足率」を通知へ第113回「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」(1/4 ページ)

第113回「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」で2025年度の需給運用状況が公表された。また、広域予備率の安定化に向け、供給力が不足した際に小売事業者に市場からの電力調達を促す「過不足率」を通知する方針が示された。

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 現在、小売電気事業者(小売BG)や発電事業者(発電BG)は、計画値同時同量のもとでインバランスを回避するという市場メカニズムを基本としつつ、一般送配電事業者は供給力・調整力を確保することにより、電力の需給バランスを維持している。

 2024年度から「広域予備率」をシグナルとして、広域予備率の低下が想定される場合には「供給力提供準備通知」「供給力提供通知」を発信し、各事業者に適正な供給力の供出・調達を促す仕組みが開始された。

 しかしながら本制度の開始後、広域予備率は週間・翌々日時点と翌日時点(前日)の乖離(かいり)が大きくなり、頻繁に「供給力提供通知」が発信されるなどの混乱が生じたため、2024年度冬期から、予備率の算定方法の見直し等の複数の暫定対策が実施されてきた。


図1.広域予備率に基づく情報発信のタイミング 出典:調整力需給バランス評価等委員会

 電力広域的運営推進機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、2025年度の需給運用状況が報告されるとともに、恒久対策の一つとして新たなシグナルを設けることが提案された。

事業者行動による「広域予備率」の変動

 「予備率」とは一般送配電事業者(一送・TSO)が想定する需要に対する予備力の割合であり、「予備力」は、余力や調整力を含む供給力の合計から一送の想定需要を差し引いて、残った供給力である。また「広域予備率」とは、地域間連系線を活用してエリア間の均衡をとった広域的な予備力の状況である。

 予備率・広域予備率が低下する原因としては、小売事業者による想定需要が低いことや、需要に対する発電事業者の供給力不足、一送の調整力調達不足等のさまざまなタイプがある。


図2.広域予備率の算出方法 出典:調整力需給バランス評価等委員会

 小売事業者は週間断面から当日に向けて、気象予報等に基づき需要想定の見直しを行い、これに合わせ、発電事業者との相対取引やJEPXを通じた調達量の変更を行う。これに伴い、発電事業者の発電計画が変化し、予備率も変動することになる。このように、各事業者の行動の変化が、予備率を常に上下変動させることとなる。


図3.各事業者の行動による供給力と予備率の変化 出典:調整力需給バランス評価等委員会

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