検索
ニュース

太陽光発電の未来を占う試金石に──再エネ「FIP転換」の実像と留意点(1/3 ページ)

新規の事業用太陽光発電(地上設置)への支援が、2027年度以降、原則として廃止される。電力市場への対応が急務となる中、既設電源のFIP転換に注目が集まっている。FIP転換の意義と、転換に伴う留意点を探った。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 太陽光発電政策の見直しが、明確になりつつある。経済産業省は2026年1月、事業用太陽光発電(地上設置)について、2027年度以降、原則としてFIT/FIP制度の対象外とする方針を示した。低圧を含む野立ての事業用太陽光“全般”に対して、FITだけでなく、FIPによる支援も廃止するというものだ。この方針は、2025年末に閣議決定された「メガソーラー対策パッケージ」の延長線上にあるもので、ほぼ規定路線と言っていい。

 一方で、FIT認定を受けた既設の発電所をFIP認定に切り替える「FIP転換」は、2027年度以降も認められる。FIPは、再生可能エネルギーの市場統合に向けた過渡的な支援制度であり、国としてもFITからFIPへの移行は引き続き推進したい考えだ。新規認定がFIT/FIPともに廃止へと向かう中、FIP転換への関心が改めて高まっている。

 こうした状況にあって、ユーラスエナジーは、再エネ発電所のFIP転換に関するセミナーを開催した。本稿では、その内容をベースにFIP転換の実像を読み解き、制度の狙いから蓄電池併設の有効性まで、過渡期ならではの論点を整理する。

市場価格と連動するFIPの仕組み

 FIP転換とは、これまで固定価格買取制度(FIT)のもとで売電していた発電所を、FIT期間の途中で、市場連動型の支援制度(FIP)による運用へと切り替えることを意味する。今日では、「FIP転」という略称で呼ばれることも多い。手続きは、「FIP移行認定申請」により行われる。

 そもそもFIP制度は、再エネ電源に対する投資インセンティブを確保しながら、電力市場への統合を図ることを目的に2022年4月から始まった制度だ。FIPとは「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略であり、再エネ発電事業者が卸電力市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進する。


FITとFIPの仕組み 出典:資源エネルギー庁

 FIT制度では、電力会社が再エネ電力を買い取る際の単価(調達価格)が、1kWh単位で定められているが、これと同じように、FIP制度でもプレミアム算定の基礎となる「基準価格」が設定されている。この基準価格から、市場価格に応じて決定される参考価格を差し引いた額がプレミアムとなる仕組みだ。FIP制度のもとでは、電気を売った価格にプレミアムを上乗せした金額が、再エネ発電事業者の収入となる。なお、FIP基準価格は、FIT調達価格と同様に交付期間中は一定であり、具体的な価格は年度ごとに定められる。そして、FIP基準価格とFIT調達価格は原則として同額となるよう制度設計されている。

FIP転換で発電事業者に求められる運用力

 FIP転換により再エネ発電事業者は、固定価格での安定収入を捨て、市場価格に連動して変動する収益モデルを自ら選び取ることになる。FIP転換にあたっては、プレミアム算定の基礎となる基準価格がどう設定されるかが気になるところだが、これについてはFIT認定時の調達価格がそのままFIP基準価格として適用されることとなっている。また、交付期間についても、FIP転換時点におけるFIT制度の残存期間がそのままFIP制度の適用期間として引き継がれる。

 FIP転換に際して留意すべきは、FITとFIPの相違が「固定価格か市場連動か」という価格形成の違いにとどまらないということだ。FIT制度は、再エネ導入初期において投資を最大限促進するために、数多くの特例措置を設けてきた。一般送配電事業者による全量買取義務、同時同量対応の免除(インバランス特例)、固定単価による長期的な収益保証など、事業者は“発電さえしていれば”安定した収益を得られる仕組みの中で事業を展開できた。

 対してFIP制度は、再エネ電源を従来電源と同じ土俵にソフトランディングさせるための「中間ステップ」と位置付けられており、FIT制度にあった特例措置の多くが廃止または限定されている。買取義務者はいなくなり、発電事業者側で販売先を確保しなければならなくなる。同時同量対応も原則として発電事業者側の責任となり、発電計画の提出や需給管理が求められる。需給調整に伴うコストも含めて、FIT制度のもとでは必要のなかったさまざまな負担が発生する。

 FIP制度のもとでは、日々発電しているだけでなく、毎時の発電量を予測し、市場に応じた充放電や取引を行うことが必要となってくるのだ。“いかに頭を使うか”によって、同じ発電設備でも収益が大きく違ってくる──それがFIP制度であり、そのリスクを取れるか否かがFIP転換を決する分かれ目ともいえる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る