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太陽光発電の未来を占う試金石に──再エネ「FIP転換」の実像と留意点(2/3 ページ)

新規の事業用太陽光発電(地上設置)への支援が、2027年度以降、原則として廃止される。電力市場への対応が急務となる中、既設電源のFIP転換に注目が集まっている。FIP転換の意義と、転換に伴う留意点を探った。

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なぜ、リスクをとってもFIP転換するのか?

 発電事業者にとって、FIP転換は短期的に見ればリスクを伴う選択である。収益変動、実務負担、制度理解――いずれも無視できない。既設のFIT電源を、あえてFIPへ転換する動機はどこにあるのか。そこには、目先の収益アップだけでなく、将来の再エネビジネスを見据えた戦略的意義を見出すことができる。

市場運用の知見獲得

 今後、新規の地上設置型事業用太陽光がFIT/FIP制度の支援対象外となり、市場対応が必須になっていくことを考えると、制度依存からの自立は急務といえる。同時に、既存FIT電源のFIP転換は今後も認められるので、自立への中間ステップとして、FIPを活用する意義は大きい。

 既設電源を用いてFIP運用に取り組むことで、市場取引、同時同量対応、インバランス管理といった実務経験を、プレミアムを得ながら蓄積することができる。これは、収益の振れの管理、効果的なヘッジ方法など、将来の事業運営に不可欠な知見を前もって獲得することを意味する。その経験とノウハウは、将来の事業競争力に直結する。

アグリゲーターの活用

 とはいえ、FIP転換に伴って生じる新た実務を、発電事業者だけでカバーするというのはハードルが高い。特に中小規模の発電事業者にとって、FIP転換は割に合わないということにもなりかねない。

 そこで、登場してくるのが「アグリゲーター(VPP事業者)」である。一般にアグリゲーターは、電力市場での運用を含めて販売先の確保を行い、実際の売電実務を代行する。日々の発電予測や計画提出、インバランス管理なども担い、売電価格の変動リスクにも対応する。FIP転換をする中小の発電事業者にとっては、どんなアグリゲーターをパートナーに選ぶかが極めて重要となる。

コーポレートPPAの組成

 FIP転換により、売電の自由度は劇的に向上する。市場で売るだけでなく、需要家との直接契約である「コーポレートPPA」の組成が可能になる点も大きい。脱炭素を掲げる企業との長期的なパートナーシップを早期に構築することは、将来的なオフテイカー確保の観点からも有利に働く。

 自然エネルギー財団「コーポレートPPA 日本の最新動向2025年版」(2025年3月)によれば、需要家名が公表された事例だけでも、2024年の1年間に97件のコーポレートPPAが組成されている。そこには新規電源だけでなく、FIP転換電源の事例を見ることもでき、「FIP転換+コーポレートPPA」が広がり始めていることがわかる。

転換のハードルを越える鍵とは?

 新規にFIP認定を受ける場合と、既設FIT電源をFIP転換する場合では、実務上の留意点が異なることも理解しておく必要がある。

 まず、需要家(オフテイカ―)からの評価においては、FIP転換電源よりも新設電源の方が「追加性」「インパクト」の観点で高く評価される傾向にある。また、ファイナンス面では、新規プロジェクトが「借り手優位」で複数の貸し手と交渉しやすいのに対し、FIP転換は現在の融資条件の変更が必要となるため、「貸し手優位」になりやすい。さらに、出力制御指示への対応に関しても、FIP制度においては原則オンライン制御化が求められるが、既存の設備では技術的に対応困難なケースも少なくない。

 こうしたハードルを乗り越える鍵の一つが、前述したアグリゲーター(VPP事業者)の活用である。再エネ発電事業者単独では難しい電力市場への対応を支援・代行してくれるだけでなく、アグリゲーターの中には、収益を安定化させる「疑似FITスキーム」の提供を通じて、金融機関が求める事業予見性を担保する役割を担ってくれる企業もある。一般に、アグリゲーターの信用力が高ければ、FIPによる通常の市場連動スキームよりも、FIPを使った疑似FITスキームの方が相対的に収入が安定しており、ファイナンス組成は容易になる。


疑似FITスキームのイメージ 出典:株式会社ユーラスエナジーホールディングス

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