太陽光発電の未来を占う試金石に──再エネ「FIP転換」の実像と留意点(3/3 ページ)
新規の事業用太陽光発電(地上設置)への支援が、2027年度以降、原則として廃止される。電力市場への対応が急務となる中、既設電源のFIP転換に注目が集まっている。FIP転換の意義と、転換に伴う留意点を探った。
出力制御とエリア特性にみるFIP転換の成否
出力制御をめぐる制度変更も、FIP転換を後押しする強力な要素だ。政府は優先給電ルールの見直しを図り、出力制御が必要となった場合には、まずFIT電源に制御をかけて、その後にFIP電源の制御を行うこととした。再エネ導入量が多く、制御発動が頻発するエリアでは、これは明確なメリットとなる。
一方で、FIT制度で設けられていた出力制御の上限は、FIP転換後には適用されなくなる。この点は注意が必要だ。
優先給電ルールの見直しにより、FIP比率が高まるにつれ、FIT電源の抑制率は追加的に増加する。資源エネルギー庁の試算によれば、FIP比率が25%に到達した時点で、FIT電源の抑制率は3割程度増加する見通しであり、その分収益性が低下する。一方でFIP転換をすれば抑制率は大幅に低下するものの、収益は優先給電ルールの見直し前程度に留まるという。また、抑制に上限(旧ルール年間30日、新ルール360/720時間)があった電源については、FIP転換により収益がむしろ低下する恐れもあることを明かしている。
こうした背景から、FIP転換の効果は地域によって大きく異なる。九州では、日中の卸電力市場の価格低下や出力制御が顕著であり、FIP転換による抑制回避効果や蓄電池併設との相性が良い。かたや北海道や東北では、系統制約の影響から抑制率が上昇する可能性もあり、慎重な検討が求められる。FIP転換には、地域特性を踏まえた選択が不可欠なのである。
「FIP転換+蓄電池」のメリット
FIP転換後の太陽光発電では、市場価格変動、出力変動、インバランス対応が事業の成否を左右する。これらの課題に対応するための重要な補完手段が「蓄電池」だ。
蓄電池の最大の利点は、時間帯による価格差を活用したアービトラージ(裁定取引)にある。日中の余剰電力や価格下落時に充電し、需要が高まり価格が高騰する夕方以降に放電することで、収益価値を最大化できる。また、出力抑制時には捨てられていた電力を吸収し、後で売電することで発電ロスを回避できる。さらに、インバランスの低減や需給調整市場への参入など、蓄電池は多層的な収益源をもたらす。
制度的にも、FIP転換電源への蓄電池の設置はスムーズに行えるようになった。FIP転換の手続きは、まず「FIP移行認定申請」を行なうところから始まる。そして、FIP転換に併せて蓄電池を導入したいと考えたとき、従来であればFIP移行認定日後に、蓄電池併設に関する変更認定申請をしなければならなかった。しかし、2025年9月1日以降は、FIP移行認定の審査と並行して蓄電池設置に関する書類についても事前確認を行うことで、手続の迅速化を図っている。
FIP転換は再エネ主力電源化への試金石に
FIP転換は、FITの延長線上にあるものではない。それは、再エネ発電事業者が市場のダイナミズムを生かし、自らの創意工夫で収益を伸ばし、次の時代へとステップアップしていくための見逃せない選択肢だ。
「どの電源を、どの地域で、どのスキームで運用するか」を見極めることは、もはや制度対応ではなく、経営戦略そのものと言っていい。アグリゲーションや蓄電システムが進化し、運用ノウハウがアセットの価値を左右する状況にあって、FIP転換は再エネ発電事業者が自律的なエネルギープレーヤーへと進化するための登竜門ともいえる。
再エネ事業は今、固定価格に依存する段階を終え、電力市場との統合を速やかに実現しなければならない局面にある。再エネの主力電源化に向けて、FIP転換が重要な試金石となることは間違いない。
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