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SAF(持続可能な航空燃料)コストの利用者負担 「空港インセンティブ」方式の検討を開始第1回「持続可能な航空脱炭素化に関する有識者会議」(1/3 ページ)

航空分野の脱炭素化施策として導入検討が進む「SAF(持続可能な航空燃料)」。国土交通省は、新たに「持続可能な航空脱炭素化に関する有識者会議」を設置し、航空輸送サービス利用者全体で広くSAFのコストを負担する仕組みの構築について検討を開始した。

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 国際航空分野のCO2排出量(2022年)は約4.8億トンであり、世界全体の排出量の約1.3%を占める。航空分野のカーボンニュートラルに向けて、「国際民間航空機関(ICAO)」は2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする長期目標を採択しており、この実現に向けては「持続可能な航空燃料(SAF)」の利用が中心的な役割を果たすものと期待されている。

 日本は、2030年時点のSAF使用量として、「本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換える」との目標を設定しており、現在国内では5つの商用規模SAF製造プラントに係るFEED(基本設計)を実施中である(※コスモ石油の堺プラントは運開済み)。


図1.主な国内SAF製造プロジェクト 出典:脱炭素燃料政策小委員会

 2030年の国産SAF大規模供給に向けては、遅くとも2026年末頃までに最終投資決定(FID)することが必須であるが、航空会社との売買契約が不確実な段階では、石油元売事業者はFIDを実施することができない。また、SAFは従来のジェット燃料と比較して高価であるため、そのコストを適切に利用者に転嫁できる見込みがない限り、航空会社はSAFの売買契約を締結することはできないというジレンマが生じている。

 このため国土交通省は、新たに「持続可能な航空脱炭素化に関する有識者会議」を設置し、広く航空輸送サービス利用者全体でSAFのコストを負担する仕組みの構築について検討を開始した。

SAF導入による追加的な費用負担の見通し

 Argus media社によると近年のSAF市場価格は図2のとおりであり(2025年11月の為替レート1USD=150円で計算)、国土交通省の聞き取りによると、直近2〜3年では240〜480円/Lの値動きがあり、従来ジェット燃料と比べて数倍程度高く、変動幅も大きい。

 燃油費は航空会社の営業費用全体の約3割を占めると言われており、2030年時点で燃料の10%をSAFに切り替える場合、SAF単価次第では、各社の営業費が数%〜10%程度上昇すると考えられる。

 また2019年の日本のジェット燃料需要は1,315万kL(国内線426万kL+国際線(本邦・外航)889万kL)と報告されており、この10%を100円/L割高なSAFに切り替えると仮定するならば、総額で1,315億円程度のコストアップになると考えられる。

 今後のSAF使用率の上昇を見据えると、特定の主体のみに過度な負担が生じない方策が求められる。


図2.SAFと従来ジェット燃料の価格水位 出典:持続可能な航空脱炭素化有識者会議

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