電力供給の安定化を目指す「中長期取引市場」、新設に向けた制度設計が本格化:第2回「中長期取引市場検討WG」(1/4 ページ)
安定的な電力供給を図るため、中長期の電力取引を行う新たな市場として創設が予定「中長期取引市場」。同市場における商品設計や入札方法等の具体的な制度設計について、本格的な検討がスタートした。
小売全面自由化以降、短期の電力取引を行うスポット市場の取引量は需要の3割程度に増加したが、その市場価格が高騰した際には、小売電気事業者の撤退による小売契約の解除や、多くの需要家に最終保障供給への移行を強いるなどの混乱も生じた。
また現在、小売電気事業者は容量拠出金を支払うことにより、供給力(kW)確保義務を順守しているが、発電事業者の燃料調達を考慮した量的な供給力(kWh)の確保も重要である。
このため、「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計WG」では、小売電気事業者による中長期での供給力(kWh)の確保や、発電事業者による電源投資や燃料調達の予見可能性を向上させ、量・価格の両面で安定的な電力供給を図るため、中長期の電力取引を行う新たな市場として「中長期取引市場」を整備する方針が示された。
これを踏まえ、資源エネルギー庁では新たに「中長期取引市場検討ワーキンググループ(WG)」を設置し、中長期取引市場における商品設計や入札方法等の具体的な制度設計について検討を開始した。
中長期取引市場で取り扱う商品の販売開始時期・販売期間
制度設計WGでは、新たに2030年度(2029年度末に提出する供給計画)から、各小売電気事業者に対して、自社想定需要(kWh)の
- 実需給の3年度前(N-3年度)に5割(※小規模事業者は2.5割)
- 実需給の1年度前(N-1年度)に7割(※小規模事業者は5割)
に相当する量の供給力(kWh)の確保を求めることとしている。
小売電気事業者は、発電事業者等との相対取引により、量的な供給力を調達することも可能であるが、中長期取引市場では2028年度の取引開始が予定されている。
小売電気事業者に課される供給力(kWh)確保義務との整合性を図る観点から、市場開設から当分の間は、中長期取引市場の取引年度(商品が取引される年度)は実需給の3年前と1年前として、受け渡し期間は原則として単年(1年間)の商品、つまり「3年前1年物」と「1年前1年物」の2つの商品を取引することが想定されている。
なお、小売電気事業者や発電事業者は、毎年度の供給計画を前年度の2月上旬までに広域機関に提出する必要があるほか、発電事業者・小売事業者のいずれも任意のタイミングで取引が可能となるように、商品の販売期間は可能な限り長いことが望ましいと考えられる。これらを踏まえ、「3年前1年物」「1年前1年物」いずれの商品も、販売開始時期は取引年度の開始時点(4月1日)からとして、販売期間は当該年度内(翌年3月31日まで)とした。
なお、販売開始時期・販売期間は、発電事業者に市場への供出を求める期間と必ずしも一致するものではなく、発電事業者に供出を求める期間等については別途検討を行う予定としている。
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