J-クレジットの適用を緩和 東京都など太陽光発電の導入義務化自治体でも登録可能に:第44回「J-クレジット制度運営委員会」(1/3 ページ)
東京都など一部の自治体で太陽光発電設備の設置を義務化する動きが広がっている。しかしこれらの義務履行のために導入された設備は、J-クレジット制度では登録ができなかった。J-クレジット制度運営委員会ではこの制度を見直し、義務量を超える発電設備については、J-クレジット制度の適用を認める方針だ。
J-クレジット制度は、省エネや再エネの利用による温室効果ガスの排出削減量や、森林管理によるCO2の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度であり、現時点、1,497件のプロジェクトが登録され、累計1,487万t-CO2のクレジットが認証されている。
またJ-クレジットは、温対法SHK制度や国内排出量取引制度(GX-ETS)など、幅広い目的に使用可能であり、カーボン・クレジット市場では5,000円/t-CO2前後で取引が行われている。
J-クレジット方法論「EN-R-002 太陽光発電設備の導入」による認証量は累計約550万t-CO2(※第68回認証委員会終了時点)であり、J-クレジット認証量全体の半分弱を占める重要な方法論である。
ところが近年、東京都などの一部の自治体では太陽光発電設備の設置を義務化する制度を導入しており、これらの義務履行のために導入された設備は「追加性」を有しないため、これらはJ-クレジット制度に登録できないという制度変更が2025年2月に行われた。
「J-クレジット制度運営委員会」第44回会合では、これを見直し、義務量を超過する太陽光発電設備設置量については、J-クレジット制度に登録・認証を可能とすることとした。
太陽光発電義務化自治体における、これまでのJ-クレジットの扱い
東京都や川崎市などの複数の自治体では、新築の住宅や非住宅建築物を対象とした太陽光発電設備の設置を義務付ける条例が施行されている。自治体により制度の細部が異なるが、本稿では簡略化のため、東京都条例を前提とする。なお、義務の対象は住宅所有者個人ではなく、「特定供給事業者」と呼ばれる都内供給延床面積が年間合計2万m2以上の建物供給事業者(ハウスメーカーやデベロッパーなど)であることに留意願いたい。
J-クレジット制度などのあらゆるカーボン・クレジット制度において、「追加性(additionality)」は制度の根幹を成すものであり、当該制度(そのクレジット収入)無しでは、排出削減・吸収が実施されないこと、と定義される。「新規性」とは異なることに留意願いたい。
東京都条例のような義務化制度がある場合、対象事業者はJ-クレジット制度の有無(J-クレジットの活用有無)を問わず、その目標を順守することが当然となるため、ここには「追加性」は存在しないと考えられる。
このため、J-クレジット制度運営委員会では、太陽光発電設備の設置を義務付ける自治体においては、新築の住宅(中小規模建物)については一律でJ-クレジットの登録を不可とした。また、東京都制度では義務順守の代替措置として、既築住宅などへの太陽光発電新設量を利用可能としているため(設置基準の2割まで)、2024年度以前に確認済証が発行されている建築物は一律にJ-クレジット登録可能、2025年度以降の場合は一律に不可とされた。
なお東京都制度においては、太陽光以外に太陽熱、地中熱なども対象とされており、J-クレジット制度ではこれらについても太陽光発電と同じ扱いとする。
ただし、ペロブスカイトなどの次世代型太陽電池は一般的に高価であり、自然体では選択されることはなく追加性があると判断されるため、次世代型太陽電池は一律にJ-クレジットへの登録が可能である。
また、太陽光発電のJ-クレジットプロジェクトは「プログラム型」(複数の削減活動などを取りまとめて1つのプロジェクトにしたもの)として行うことが一般的であり、個別のリソース(活動)が随時追加されるため、太陽光発電義務化自治体における太陽光発電などの扱いは、すでに登録済のプログラム型プロジェクトにも適用される。
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