ADSL完全導入ガイド(4/6)
ADSLは誰でも利用できるのか

 まず,ADSLは電話局とユーザー間でのみ用いられるデータ通信技術であることを注意してほしい。したがって,電話局からインターネットまでは別のデータ通信経路が必要であり,一般にはADSL事業者が電話局まで専用線を引き込んでユーザーを収容している。このため,アナログ電話回線があれば誰でもすぐに利用できるわけではない。

 現状でADSLを利用できるのは,大都市部とその周辺地域,および地方部では都道府県庁所在地などに限定されている。前述した通り,ADSL事業者が電話局まで専用線を引き込む必要があり,コスト的な負担が大きいためだ。「まずは需要が多くみこめる人口密集地域から」というサービスエリア展開になっているのだ。

 NTT東西地域会社もADSL事業者の1つ。同社では,常時接続サービス「フレッツシリーズ」の1メニューとして「フレッツ・ADSL」を提供しており,エリア展開は比較的早い。フレッツサービスでは先行した「フレッツ・ISDN」用に地域IP網というネットワークを敷設しており,フレッツADSLでもこれを利用している。都道府県庁所在地が中心とはいえ,全国でADSLサービスを行っているADSL事業者は,2001年6月末現在,NTT地域会社だけだ。

 ADSLは既設のメタル線をそのまま利用できるため,サービスエリア内であれば住宅タイプの影響は受けにくい。新たにケーブルを引き込む必要がある光ファイバー接続(FTTH)やCATV接続では集合住宅などで利用できないことも多いが,ADSLの場合,このような制限がない。

 では,サービスエリア内であり,電話を利用しているならみなADSLを利用できるのかというとそうもいかない。通常,ユーザーの所までは電話回線はメタル線で引き込まれているが,実は電話局とユーザー間の一部が光ファイバー化されていたり,マンションなどでは電話局からマンションまで全て光ファイバー化されている場合もある。ADSLはメタル線を利用したデータ通信技術なので,電話局とユーザー間が一部でも光ファイバー化されていると全く利用できないのだ。最近建造されたマンション,ビルなどではこの傾向が強い。

 ADSLは,まだサービスエリアが狭いという問題はあるが,CATVや光ファイバーのように,その地域にケーブルが敷設されていないということは(ほとんど)ない。また,既存のメタルケーブルを使うため,アパートやマンションのような集合住宅でも気兼ねなく導入できる。ロケーションの影響を受けにくいという点は,大きなメリットだ。

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[坪山博貴,ITmedia]

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