特集:リネージュにおける社会心理学的考察
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8月25日:ゲーム社会を“信頼”するリネージュユーザー |
8月26日:恋をする韓国人、恋をしない日本人 |
8月27日:“リアルマネートレード”をめぐり分かれる意見 |
8月28日:ネット上で、人は完全な別人格になれない――池田教授 |
池田氏は2003年に、国内のリネージュユーザー1362人についてアンケート調査を行っている。それによると、リネージュユーザーはほかのオンラインゲームユーザー同様、積極的に情報発信を行う傾向を持つ。
まず、ホームページ所有率が高い。リネージュユーザーで「ホームページを持っている」と回答したのは、実に全体の約8割。同氏が2002年に山梨のインターネットユーザーを対象に行った調査では、ホームページ所有率が4割に満たなかったから、一般のネットユーザーよりはるかに高い比率といえる。池田氏によれば、「ホームページの大部分は、リネージュに関連するもの」だという。
また、リネージュユーザーは知人とPC以外でも交流している。リネージュの仲間と携帯で「毎日携帯メールでやりとりする」と回答したのは、全体の約1割。「週に1度以上、電話でやりとりする」と答えたユーザーの比率は、全体の2割を超えている。
また、大きな特徴としてネット上での「信頼感」「互酬性」が高いことも挙げられる。これについては、より詳しく見てみよう。
池田氏は、アフリカ南部にある犯罪率・失業率ともに高い国家を訪問した際を思い返しながら、こう話す。
「治安が悪い国といっても、なにも全員が犯罪者というわけではない。むしろ、悪人は1000人に1人ぐらいの割合のはず。しかし、私にとっては周り中が危険な人間に思えて仕方がない。つまり、その国家での“信頼感”が失われていた」。
信頼感とは、個人が特定の社会で周囲をどれだけ信用することができるか、ということ。互酬性とは、読んで字のごとく、互いにどれだけ利益を与えあうことができるか、ということだ。Putnamは「社会関係資本論」(1993、2000)の中で、「信頼感や互酬性を高めることが『よき市民』を生み出すのだが〜」と述べている。
そして、リネージュユーザーはネット社会での信頼感、互酬性が高い。
再度、山梨のインターネットユーザーと比較してみよう。一般社会において「たいていの人は信頼できる」と考えるユーザーの割合は、山梨のネットユーザーも、リネージュユーザーも、そう変わらない。
ところが、「“インターネットでは”たいていの人は信頼できる」と考えるユーザーの比率では、両者の間で大きな違いが出た。たいていの人間は「信頼できない」と答えたユーザーの比率は、山梨の場合、全体の6割を超えた。しかしリネージュの場合「信頼できない」は、3割強に留まり、きれいに逆転する結果となった。
「一般ユーザーはネット社会を、“治安の悪い国家”だと考えている。しかしリネージュユーザーは、自分が苦境にあったら、誰かが助けてくれるだろうと考えている」(池田氏)。
この点を、もう少し深く調べてみよう。リネージュユーザーが、信頼感や互酬性を高める要因となっているものは何だろうか。
アンケートから統計的分析を行ったところ、「信頼感・互酬性」に直結するものは「血盟メンバーへの信頼(*)」だと判明した。すなわち、「血盟メンバーを信頼できる」と考えるユーザーほど、信頼感や互酬性がより高い傾向が見られたという。
*血盟=ゲーム内で行動をともにするグループ単位のこと
また、日常生活で感じている信頼感・互酬性との相関を見たところ、信頼感は日常生活で高いほど、ゲーム内でも高くなる傾向があったが、互酬性は日常生活と全く関係がなかった。
池田氏はここから、リネージュ内での経験が、一般的な信頼感などとどう結びつくか、と考える。これは、とりもなおさず、オンラインゲーム上での社会的行動と、一般社会での行動とが結びつくか……という、問いかけでもある。
「信頼感は(一般社会との)相互流通性が高いが、互酬性はネットに限定的なものかもしれない」。上記のデータから、池田氏はこう考察した(続く)。
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[杉浦正武,ITmedia]
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