リビング＋：恋をする韓国人、恋をしない日本人

リビング＋：特集

2003/08/26 23:59:00 更新

特集：リネージュにおける社会心理学的考察
恋をする韓国人、恋をしない日本人

ネットゲームユーザーの実態に、学術的にアプローチする特集「リネージュにおける社会心理学的考察」、第2回と、第3回は“日韓プレイヤーの比較”を行う。

　ネットゲームユーザーの実態に、学術的にアプローチする特集「リネージュにおける社会心理学的考察」、第2回と、第3回は“日韓プレイヤーの比較”を行う。

　そもそも、東京大学大学院の池田謙一教授が研究を行うに先立ち、韓国でリネージュユーザーに対する調査が行われていた。ソウルの延世大学が2002年に、4786人のユーザーを対象とする特性分析を行っていた。

　池田教授の調査は、延世大学のワン教授から一緒に研究を行うことを持ちかけられ、同研究の“日本版”の結果を出すべく行われたもの。全く同じオンラインゲームでありながら、それをプレイする人間が変わることで、どのように変容したネット社会が形成されるのか――という、興味深い国際比較となっている。

年齢層は、日本の方が高い

　それでは、まずは基本的なデータから比較しよう。

　リネージュをプレイするユーザーは、日韓とも男性比率が高い。日本で8割以上、韓国にいたっては9割以上だ。年齢層では、韓国では10代がほぼ6割を占める。一方、日本では10代は3割程度。むしろ20代が40％以上を占めており、主流となっている。

　「韓国では、中高生が多い。これに対し日本は、ネット上でクレジット決済を要求されるためか、比較的年齢層が高くなっている」（池田氏）。

　プレイする場所を見ると、日本では「家」が9割5分に達する勢いだが、韓国では「家」と「ネットカフェ」の割合が7：3程度。いわゆる“PC房”（＝韓国のネットカフェ）での利用者が相当数いることが分かる。

　また、「誰とリネージュをするか」を聞く項目では、日韓の違いが顕在化する。日本では、「1人でプレイする」と答えたユーザーが全体の6割。「友達と」も2割程度いるが、主流派ではない。しかし、韓国では約7割が友達とプレイしており、1人でプレイするユーザーは15％程度に留まっている。

　「PC房に仲間といって、カラオケ感覚でゲームを楽しむのが、彼らのやり方。プレイしている最中、（物理的に）隣には友達がいる」（同）。

　逆にいうと、日本ユーザーはネット社会に1人で乗り込み、ほかのユーザーと友好を深めていることになる。実際、リネージュの魅力として日本ユーザーの6割が「いろいろな人と会える」ことを挙げており、積極的に見知らぬ人間と出会っていることが分かる。

ネットで恋をする韓国ユーザー

　ネット社会で、ユーザーの行動単位となるグループが「血盟」だ。韓国では6割弱が、なんらかの血盟に所属している。

　これに対し、日本ではほぼ9割が血盟に所属。これだけで結論づけるのは早計かもしれないが、やはり「集団への帰属意識が高い日本人」……という構図が描けそうな結果となった。

　興味深いのは、“ネット上の恋愛経験”を問う項目だ。日本では、「ほかのキャラクター／プレイヤーを好きになったり、恋に落ちたりしたことがある」と回答したユーザーは、全体の2割弱。「現在恋愛中だ」は10％弱で、残る大半のユーザーは「恋愛をしたことはまったくない」。

　ところが、韓国のデータとなると驚くべき結果が出る。「ほかのキャラクター／プレイヤーを好きになったり、恋に落ちたりしたことがある」ユーザーは、実に全体の8割を超える。「現在恋愛中」も10％弱いて、一番少ないのが「恋愛経験まったくなし」となるのだ。今回の調査で、国民性によってここまで差が出た項目も珍しいだろう。

　もっとも、思い出してほしい。リネージュのユーザー層は、韓国では9割以上が男性だった。これを、どう考えるべきだろうか？　数少ない女性をめぐって、めくるめく恋の3角関係、4角関係、いや9角関係ぐらいが展開されたということか？　あるいは、韓国ではネット上で、1人の女性が9股をかけることが珍しくないのか？

　池田氏は、この点について、以下のように考察する。

　「……これを、どう考えればいいのか？（苦笑）。おそらく、ネカマ（ネット上で性別を偽る男性）と恋に落ちた男性も、相当数いるのだろう」（続く）

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