リビング+:特集 2003/08/27 19:15:00 更新

特集:リネージュにおける社会心理学的考察
“リアルマネートレード”をめぐり分かれる意見

前回に引き続き、日韓リネージュユーザーの国際比較を行う。文化的背景の違いからか、両者の“禁止行動”に対する意見には大きな相違が見られるようだが……

 ネットゲームユーザーの実態に学術的にアプローチする特集「リネージュにおける社会心理学的考察」、第3回は前回に引き続き日韓プレイヤーの国際比較を行う。

 ユーザーの文化的背景が、ネット社会にもたらす影響はどうやら大きい。「平和」な世界を望むのか? 「刺激的」な世界を望むのか? 日韓ユーザーが作り出すネット社会が、どちらに寄っているのか、見てみよう。

“自治”の意識が高い韓国ユーザー

 まず興味深いのが、リネージュユーザーが何を基準にして他者評価を行っているかだ。

 日韓ともに、最も重視されるのはやはり「信頼できるか」。ともすれば危機に陥り、互いの助け合いを要求されるゲーム世界にあって、信頼できるかどうかは重要なポイントだろう。

 だが、韓国ではもう1つ重視されるポイントがある。「マナーがいいかどうか」だ。日本でも20数%がこれを挙げているが、韓国では40%近いユーザーがこの点を気にしている。

 次に、“リネージュの秩序を維持するのは誰か”という質問の結果に注目してみよう。日本では、50%強のユーザーが「一般のプレイヤー」と回答。続いて約25%が「運営者、GM(=ゲームマスター)」と答えている。

 一方、韓国では「一般のプレイヤー」と答えるユーザーが6割を超える。しかし、「運営者、GM」と答えるユーザーは10%程度しかいなかった。

 この2つの結果は、何を意味するのだろうか。東京大学大学院の池田謙一教授は、韓国の方が「自治の要素が強い」のだと分析する。ネット社会の秩序は、自分達で能動的に作る。それゆえに、マナーには十分に注意を払う必要があるというわけだ。

 池田氏はこの状態を、「アメリカの(西部開拓時代の)フロンティアを連想させる」と話す。日本はこれに比べると、比較的GMに頼る部分が見られるように、外的な枠を好む傾向があると指摘した。

 日本と韓国、いずれのユーザーが作り出す社会がよいか、一概には決められない。ただ、おもしろいのは“自治の要素が強い”は、時として「むしろ殺伐としている」(池田氏)こともある――ということだ。この意味するところは、次に見ていく内容から、明らかになる。

“禁止行動”への意見は?

 池田氏が、両国で異なる結果が出た例として挙げるのは、禁止行動の状況や、それに対する意見を問う項目だ。

 禁止行動とは、運営者から禁じられている行為全般を指す。具体的には、リアルマネートレード(ゲーム内アイテムを現実世界の現金で取引する)などがある。

 日本では「リアルマネートレードをしたことがない」と答えるユーザーは、全体のほぼ9割。つまり、たいていのユーザーはリアルマネートレードはしていない。ところが韓国では、「したことがない」ユーザーは約6割となる。

 韓国ユーザーがリアルマネートレードをするのは、「特に買いたいアイテムがあるとき」「集めたいアデナ/アイテムがあるとき」「新しくゲームを始めるとき」など。ちなみに、新しくゲームを始めるユーザーは、装備が不十分なため、旧式な装備が不要になった上級者から、武器を購入することがあるようだ。

 もちろん、こういった行動は犯罪につながりやすく、事業者からしてみれば望ましくない。実際、日本ユーザーは過半数が「約款で禁止されているので、リアルマネートレードをしてはいけない」と考えている。

 だが、韓国ユーザーの考えは違う。実に半数近いユーザーが、「プレイヤーの努力の結果なので、(アイテム売買などは)プレイヤーが勝手にできる」……と答えているのだ。このあたりは、国民性の違いを感じるしかない。

 韓国で、リアルマネートレードを否定するユーザーは、全体の25%弱。ほぼ同数で「法的に禁止されていなければ、取引してよい」が続く。数パーセントだが、「リアルマネーでアイテムを取引できなければ、ゲームの意味がない」と考えるユーザーもいるようだ。

 これ以外にも、たとえばPK(Player Killing=ほかのユーザーを殺すこと)などの経験比率も、全体に韓国の方が高め。こういったデータに眉をひそめるのは、当然の反応なのか、あなたが日本人だからなのか、ゲーム社会に理解がないからなのか……? いずれにせよ、両国の違いは明らかで、研究結果としては非常に興味深いものとなった。(→次回:池田教授のインタビュー掲載)。

関連記事
▼恋をする韓国人、恋をしない日本人
▼ゲーム社会を“信頼”するリネージュユーザー
▼「オンラインゲームユーザー=オタク」ではない?
▼「オンラインゲームユーザーはオタクか?」を議論する、その前に
▼特集:ゲーム屋の舞台裏 重要性を増す「チートコード対策」 〜リネージュ

関連リンク
▼リネージュ
前 リネージュにおける社会心理学的考察 3/4 次

[杉浦正武,ITmedia]



Special

おすすめPC情報テキスト

モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!