リビング+:ニュース 2003/12/03 23:59:00 更新

PSX発売直前インタビュー
PSX、仕様変更の“なぜ?”(後編) (1/2)

ソフトウェアアップデートを“強み”として、また“頼り”にして機能の追加をはかる「PSX」。少々気が早い気もするが、アドオンで提供される機能にはどのようなアイデアがあるのか気になるところだ。引き続き、島津彰室長と松岡賢次氏に話を聞いた。

 前回はPSXに関する数々の仕様変更に対する解答とアップデートポリシーについて紹介した。DVDドライブの4倍速書き込みサポートにおいては、多少歯切れの悪さもあったが、基本的にはオンラインファームウェアアップグレードと、対象メディアの追加告知によって、最終的には「CEATEC JAPAN 2003」で発表された時のスペックを確保できるようだ。

 ソニーは既に、CEATECの時点でDVD+RWの書き込み(DVD+VRフォーマット)をソフトウェアアップデートにて提供することをアナウンス済み。前回のインタビューで紹介した内容と合わせると、相当な数の機能をファームウェアアップグレードに頼ることになる。DVD+RWの書き込み機能がサポートされるまでを一区切りと考えても、その道程はまだまだ遠いように思う。

 また、少々気が早い気もするが、アドオンで提供する予定の機能にはどのようなアイデアがあるのか気になるところ。引き続き、PSXの開発指揮を執る島津彰室長と、商品企画を担当する松岡賢次氏に話を聞いた。

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同社ブロードバンドネットワークカンパニー、エンターテイメントシステム事業室室長の島津彰氏(左)、および企画部第1課統括課長の松岡健次氏(右)

“溜めるだけ”ではなく、メディアを“提供する”機能も

 PSXの機能強化に関し、松岡氏はあくまでも1つの例であり、「私的な意見だ」と断りながら、今後のPSXの機能強化について話した。

「PSXには、さまざまなメディアをキャプチャーする機能が統合されています。テレビ録画もその一例ですが、そのほかにも音楽や写真といったメディアを内蔵のハードディスクに溜めることができます。しかし、溜めたメディアは基本的にPSXの中でしか利用できない。映像はDVDへの書き出しが可能ですが、音楽は書き出しができません。(著作権保護された)音楽データのチェックイン/チェックアウト機能が、まずは必要だと考えています。同様にPSX内にあるメディアデータを、PSX以外のデバイスで楽しめるようにする機能を検討したいと思います」。

 内部コンテンツを外部のデバイスに提供する場合、DVDやCD、メモリースティックなどのメディアを通じて書き出す方法と、ネットワークでコンテンツを配信するやり方の2種類が考えられる。ネットワークでのコンテンツ配信では、常に著作権管理が問題となるが、現在、著作権保護技術のDTCPをTCP/IPネットワーク上に実装するDTCP over IPが、業界内で検討されている。

「まずはメディアを媒介役にして、他製品とのデータ連携を取ることになるでしょう」とは島津氏。また松岡氏は「ネットワークとなると、それを受け取るデバイスが存在しなければなりません。いったい、どのデバイスがネットワークサービスを受けられるのか。その問題を解決する方が先になるでしょう」と、両氏ともに否定的だ。

 とはいえ、先日コクーンチャンネルサーバでは「バイオ」シリーズと連携し、ハードディスクに蓄積したビデオをバイオ側でDVD化するネットワーク連携機能が発表されている(記事参照)。現状のPSXは、せっかく装備されているイーサネットポートがオンラインアップデートとゲーム機にしか利用されていない状態。もし、蓄積した情報を配信しないのであれば、せめてクライアントになってほしいものだ(バイオの中にある音楽や写真の再生、コクーンチャンネルサーバー内のビデオをDVD化するなど)。

 ソニー内部の事はわからない面も多いが、外から見るとバイオとコクーンの開発チームが、緩やかな連携を保っているようにみえるのに比べ、PSXはそれらから距離を置いているようにも感じる。ソニーのバッジを付け、ネット家電として投入される製品ならば、ソニー製品同士では繋がる方向に進んで欲しいとユーザーは思うのではないか。

「われわれは現状、発表した内容のPSXを提供することになりました。より多くを期待していた皆様には、現在の仕様を明らかにした上で、スミマセンとしか言えません。しかし次にはオンラインアップデートで機能アップを果たします。その次にはPSXに蓄積されるであろう、ビデオ、写真、音楽を、どのように活用するかを考えています。ほかのソニー製品のクライアントになるという方向もあるでしょうが、それは今後のユーザーニーズを見極めてということになるでしょう。

 社内の連携に関しては、決して何もしていないわけじゃありません。私自身、PSXを担当する前までは、AV機器を扱う部門で仕事をしていましたし、コクーンの開発チームとももちろん面識があり、話はしています。ただ、PSXの事業が立ち上がって以来、私のところには社内から“こんなことを一緒にできないか”、“この製品と連携を取れるようにしたい”といった電子メールが毎日、たくさんやってきます。現状、まだ製品を出荷していない段階ですし、そうした社内からのオファーを整理し、どのような方向に(ネット家電としての)PSXを持って行くかを決められる段階にないのです」(松岡氏)。

 ここで、ジョーク交じりに「われわれの媒体読者はPCのユーザーが中心。著作権管理などの問題もあるが、DTCP over IPなどの環境が整備されるだろうことを考え、PC部門にもメールの返信を積極的にしてほしい」とお願いしてみた。

「いや、バイオの部隊ともきちんとコミュニケーションを取っていますよ(笑)。PCと繋がるとしたら、バイオには最初に対応しなければならないと思っています」(松岡氏)

多機能化へ進むかどうかはユーザー次第

 もうひとつ、PSXの将来を見据えたときに気になるのが、ライトユーザー向けに機能を削減し、シンプルな製品にしたという、松岡氏のこれまでの説明である。もちろん、機能そのものの概念を理解しづらいものに関しては、削減することでシンプルにするという考え方もあると思う。

 しかし、たとえばGOP単位でしかカットできない編集機能が、操作を簡単にしているとは思えないのだ。そもそも、MPEG圧縮技術のことを知らないユーザーが、よく解らないが数コマ単位でしか分割できず、カットしたハズなのにCMが入ってしまう、といったことを体験し、繰り返しカットし直して思うようなところで切れず、マニュアルを見てやっと理解する。

 それよりは、GOPで末端を決めた後、微調整でコマをずらすようなユーザーインタフェースを搭載してあげる方が、ずっとシンプルだろう。よくわからない制限は可能な限りない方が、初級者には親切ではないだろうか?

 同様にDVD-RWに追記したい、少しサイズの大きな録画データを1枚のDVDに収めたい、その背景でハードウェアがやらなければならないことは増えるが、ユーザーのやりたいことは至ってシンプルである。そもそも、ユーザーは利用しているうちに、少しずつノウハウを蓄積していくものだ。

「PSXのコンセプトは、HDDに手軽に録り溜めて、気に入ったらDVDに残しておくというものです。われわれはそうした使い方の中で、不要だと思われる機能は削除して、徹底的にユーザーインタフェースを磨いたのです。たとえば、レート変換を行うと、ダビング速度はビデオの実時間と同じになってしまう。これでは各社が“何倍速”と話しているのが嘘になってしまいます。ではなぜ、等倍速になってしまうのか? そうした余分な知識が必要にならないようにしています」と松岡氏。続いて島津氏は、「最終的に、ユーザーがより高度な機能を求めるようになれば、われわれはそれに対応するよう努力するでしょう」と話した。

 もちろん、機能をシンプルにすることで、操作時の“迷い”が少ない、というのはPSXを使ってみるとスグにわかることだ。機能や設定が分散しておらず、統一的な操作手順であらゆる機能へとアクセスできる。しかし、ここは削らなくても……と思う部分もある。

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[本田雅一,ITmedia]



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