チボリ,IBMとの統合を見据えてラインナップを一新

【国内記事】2002.4.16

 日本チボリシステムズ(チボリ)は4月16日,同社のシステム管理ソフトウェアラインナップを一新した。

 同社はこの7月に,日本アイ・ビー・エム(IBM)との統合を控えている。これに備え,製品名にはすべて「IBM Tivoli」が冠されるとともに,約150種類にも及んでいた製品群を,「パフォーマンス&アベイラビリティ」「コンフィグレーション&オペレーションズ」「セキュリティ」そして「ストレージ」という4つの軸に沿って整理。新たに30以上の製品群に編成し直している。

 たとえば,これまでは「DB2/UDB」「Informix」「Oracle」……などと,対応製品ごとに分かれていた製品を,目的に沿って「for Databases」という具合に統一し,ユーザーに分かりやすく提供していく。また従来は3ティア制を採用していた料金体系も,サーバのプロセッサ単位に改められ,特に小規模なシステムでは導入が容易となった。

プロアクティブな管理へのシフトを強調

 ラインナップ刷新に当たって,チボリ代表取締役社長を務める鈴木和洋氏,米IBMのチボリ・ソフトウェア部門のマーケットマネジャーのポール・キャスタリン氏がともに強調したことは2つある。

 1つは,サーバやネットワークといったシステムの構成要素を個別に監視する従来型の運用管理手法から,ビジネスプロセス,つまり業務全体を見ていく「ビジネス・インパクト管理」へのシフトだ。

 ITは企業ビジネスにとって不可欠なインフラだということが言われるようになって久しい。しかし現実のシステム管理となると,目の前のトラブルや障害対応に追われ,いかに速やかにシステムを復旧させるかとというところに(もちろんこれも重要な要素だが)力が注がれがちだ。

 同社の新ラインナップは,こうした事後対応型のシステム管理から,プロアクティブなシステム管理への転換を実現するものだという。つまり,何らかのトラブルが発生する前にそれを予測し,障害を未然に防止するような対策を取ることで,システム――ひいてはビジネスの停止を避けるとともに,いっそう品質の高いサービスが実現できるというのが,チボリの見方だ。

 こうしたプロアクティブな管理が実現されれば,結果として,システム管理の効率化とコスト削減が図れる。それだけではなく,サービスレベルを向上させ,またビジネスの継続性が強化されるという。「システム管理はあくまで手段。目的はビジネスを管理することにある」(鈴木氏)

 ただ,こうしたリアクティブ型管理からプロアクティブ型管理へのシフトは,何もチボリの専売特許ではない。システム管理ツールを提供する他のベンダーも,同様にプロアクティブな管理の重要性を提唱するようになっている。

 これに対しチボリでは,プロアクティブな管理を実現するために,実際に新しい製品を投入している。それが「IBM Tivoli Service Level Advisor 1.1」だ。

 このツールでは,IBM研究所が開発した独自のアルゴリズムに基づき,システムの今後の傾向を予測。あらかじめ定めたサービスレベルに違反する前に,その予兆を検知し,警告を発してくれる。これに,同社が蓄積してきたベストプラクティスを組み合わせることで,一歩先を行くIT運用管理,ビジネス管理が可能になるという。

 もう1つ発表の席で強調されたことは,IBMが提供するミドルウェア群との連携強化だ。DB2やWebSphere,ロータス ノーツやMQSeriesといったIBMブランドのソフトウェア群に対し,製品そのものの連携はもちろん,サポート面でも対応能力を充実させていくという。「IBMとの緊密な関係により,さらに柔軟で付加価値の高いソリューションを提供していく」と,キャスタリン氏は述べている。

 だからといって,IBM製品のみにサポートを限定するわけではまったくない。「IBMのミドルウェア,他のベンダーのミドルウェアをきっちりサポートしていく」(鈴木氏)。また,収集した情報を他のシステム管理ツールとの間でやり取りする機能も,引き続き提供していく。

「今回の発表は第1弾に過ぎない」

 ラインナップの一新に当たっては他にも,ポリシーベースの認証とシングルサインオンを実現する旧「Tivoli Policy Director」が,「Tivoli Access Manager for e-business V3.9」と名称を改めてリリースされた。また,システムの運用・稼働状況を監視する旧「Tivoli Manager」も,「Tivolo Monitoring」に改められ,アプリケーションの管理機能が強化されている。

 ただ,「今回発表したのは,チボリが提供するもののうち第1弾に過ぎない」(キャスタリン氏)。同氏は今後も,より洗練されたシステム管理ツール群を提供すべく努力していくと述べた。

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[高橋睦美 ,ITmedia]