エンタープライズ:コラム 2002/10/08 21:45:00 更新


Opinion:富士通のUNIXサーバ新モデル「PrimePower」の実力は?

どのようなe-ビジネスならばうまく行くのかとあれこれ思いを巡らせている人も多いだろう。そうした中、富士通はUNIXサーバ「PrimePower」の新モデルを発表した。だが、大切なのはハードウェアのコストだけではなく、トータルとしての優位性なのだ。

 ビジネス全般に行き詰まり感がただよう中、どのようなe-ビジネスならばうまく行くのかとあれこれ思いを巡らせている人も多いだろう。

 そうした中、富士通はUNIXサーバ「PrimePower」の新モデルを発表した。富士通テクノロジー・ソリューションズの製品マーケティング担当副社長、リチャード・マコーマック氏は、この新モデルの発表の席で次のように話している。「当社の顧客は、ビジネスに真に役立つ基幹業務コンピューティングソリューションを求めている。われわれがそうした顧客のニーズにフォーカスしていることは、当社のシステムがパーティション、ダイナミックなアップグレード/ホットプラグ機能、高性能クラスタリング機能などで提供している革新的な技術からも明らかなはずだ」。もっとも、クールなイギリス訛りの英語を話すマコーマック氏はユーモアのセンスも兼ね備え、陳腐になりがちな製品発表会をうまく演出していた。

 PrimePowerの新モデルでは外観が再設計されているだけでなく(もはや、弾痕のある修理後の水冷装置のようには見えない)、サイズの小型化により、接続性の問題や全体の設置面積の問題などが軽減され、結果的には総所有コスト(TCO)の節約につながる製品となっている。

 新モデルには富士通の1.3GHz版SPARCプロセッサが採用され、ボードは8CPUに対応し、システムは最大128ウェイまで拡張可能。性能も改善され、パーティションも万全だ。プロセッサボードは2CPU単位のグループに小分けにしたり、2CPU単位で希望のサイズのパーティションに統合したりもできる(ただし富士通によると、Solarisのパーティションは16までに制限されているため、ハードウェア自体の対応は無制限だが、実質的にはパーティションの拡張は無制限ではない)。

 さらに同モデルには、ハードウェアのリトライ機能が搭載されるため、通常のソフトウェアのリビルド/リトライプロセスを回避できる。このプロセスでは普通、バッファをフラッシュさせ、リビルドする必要があるため、命令の実行が大幅に遅れる。しかし新モデルでは、こうしたソフトウェアルートを迂回し、失敗した命令を直接ハードウェアに再提出できるようになっている。

 そして何よりも重要なポイントはおそらく、クラスタサーバで快調に処理を行なっている際にパーティションの1つにトラブルが生じたとしても、同じプロセッサボードを利用している残りのパーティションに影響が及ばない点だ。パーティションはすべて電気的に隔離されているからだ。

 もちろんこれは、状況がその段階まで進んだとしての話だ。内部の診断ルーチンとホットプラグ機能のおかげで、新モデルは突発的なトラブルにあう可能性が非常に低く、トラブルの兆しが見られるような場合には、パーティションを別の場所で再構築するよう促す通知が前もって送られるようになっている。富士通が365日24時間体制で提供しているグローバルなe-ビジネスサポートと組み合わせれば、この優れたセーフティネットはPrimePowerサーバの魅力を一層増すことになるだろう。富士通も実際、その点を売りにしている。同社は北米市場では比較的新参だが、景気低迷に伴う沈滞ムードが漂うローエンド/ミッドレンジ市場への着実な参入を果たしている。

 例えば、同社のビジネスは4分の3以上を8CPU以下のサーバ事業が占め、その約3分の2はITアウトソーシング業者や金融機関に供給され、相当量が政府サービスに提供されている。主流OSはSolaris 8(ただし、ソフトウェアアプリケーションの問題のため、Solaris 2.6の割合も少ないながらも2ケタ台だ)で、Oracleサイトの数が圧倒的だ(大部分のマシンがOracleを採用している)。

 富士通はさまざまなサービスレベルの保守/サポート契約により、市場に積極攻勢をかけている。顧客は依然として、技術者をサイトに常駐させることはできないが、休日を含めた365日24時間体制のサポートサービスを利用でき、契約によっては2時間以内の対応も約束されている。

 ところで、なぜ富士通のハードウェア以外の要素まで気にかける必要があるのだろう? 企業がIT支出を切り詰め、投資を回収できないままの数々のITプロジェクトの傷跡が目立つ今の状況において、「ハードウェアさえ良ければいい」という考え方は適当ではない。PrimePowerサーバシリーズは非常に競争的な価格に設定されている。

 だが、ハードウェアのコストだけでは不十分だ。既に言い古されている警句ではあるが、大切なのは、トータルパッケージの値に注意を払うことだ。そして、それには企業が自社製品をサポートする能力も含まれる。確かに、お金をつぎ込めば、ハードウェアの問題は最終的には解消できるだろう。だが、金のなる木がしおれかけている今のような状況においては、そういうわけにもいかないはずだ。

 サーバを購入する場合に、ベンダーのサポートはどう重要になるのだろうか。

ビル・オブライエン氏はフリーランスライターで,CNETおよびZDNetへの寄稿も多い。Tech Updateのウイークリーハードウェアコラムも担当する。

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[Bill O'Brien,ITmedia]