エンタープライズ:ニュース | 2002/10/31 00:01:00 更新 |
Interview:新生HPに聞く、次のIAサーバ戦略(前編)
HPとコンパックは、11月1日付けで日本でも正式に統合する。新生HPのIAサーバ戦略で中心となるのは「hp ProLiant」や、64ビットサーバのItanium。IAサーバの世界で同社が技術的に一歩抜け出た印象もある。新生HPのIAサーバ戦略について、インダストリスタンダードサーバ統括本部の香取明宏氏に話を聞いた。
ヒューレット・パッカード(HP)とコンパックコンピュータは、11月1日付けで日本でも正式に統合し、「新生HP」として新しい船出を果たす。その中で、エントリモデルを除くIA(Intel Architecture)サーバについては、コンパックコンピュータのProLiantシリーズが「hp ProLiant」として引き続きメインで展開される。また、64ビットサーバでは、HPはインテルとItaniumを共同開発してきていることも併せて考えると、IAサーバの世界で同社が技術的に一歩抜け出た印象もある。新生HPのIAサーバ戦略について、インダストリスタンダードサーバ統括本部の香取明宏氏に話を聞いた。
「ハードウェアは価格ではなくトータルコストで判断するべき」と話す香取氏
ZDNet 米国では5月7日に正式に合併し、日本法人でも11月から正式に新生HPとしての事業が開始されますが、HPとコンパックが統合することによってどんなメリットがあると考えていますか?
香取 コンパックとHPの両社が元々持っていたネームバリューが、統合することによってさらに高まると考えています。HPのHP-UXと、IAサーバのパイオニアであるコンパックのProLiantが一体化することで、新生HPに対する信頼性も高まり、ユーザーが安心して利用できるということです。米国では一足先にこの動きが浸透してきています。ナンバーワン戦略の下で、新生HPはオープンプラット環境において、IBMやサン・マイクロシステムズなどのライバルと競争していくつもりです。
ZDNet IAサーバ向けの戦略としてどんなことを重視していくでしょうか。
香取 顧客のニーズに応えることを第一に考えています。IAサーバ戦略の柱となるビジョン「アダプティブインフラストラクチャ」では、顧客のビジネス環境の変化に柔軟に対応するシステムの提供を目指しています。具体的には、リモートからのサーバ管理や、システム監視の自動化、インテリジェントな障害復旧、動的なリソース割り当てなどの機能をソフトウェアによって提供していきます。
ZDNet HPは、インテルとItanium Processor Family(IPF)を共同開発してきたという経緯があります。元々強かった32ビットのProLiantという製品ラインと併せて、IAサーバにおける「戦力」が集中したような印象もありますが。
香取 メインフレームをリプレースするようなハイエンド機において、64ビットのIPFへのシフトは望ましいことと考えています。以前から64ビット化を実現していたHP-UXベースのシステムにおいて、Alphaチップは今後IPFに移行していきます。ここに、32ビットのProLiantで培った技術を入れていくことで、オープン環境で32ビットと64ビットの技術が融合するのです。このように、新生HPは、64ビットの流れからそのままIPFにシフトできることが技術的な特徴です。これに対し、他社は32ビットの技術をベースにしてIPFに対応していくものと考えます。
ZDNet そこでは、顧客にどんなメリットを提供できますか。
香取 ハイエンドマシンにおける「値段の違い」を感じてもらえると考えます。非常に高価なUNIXマシンやメインフレームも、新生HPの製品およびサービスならIPFというIAサーバでリプレースできます。つまり、ハイエンド領域で遂に、量産チップによるスケールメリットの論理を持ち込むことができるのです。市場に大きなインパクトを与えるかもしれません。
ZDNet ProLiantの各製品ラインについて製品戦略を教えてください。
香取 ProLiantには、ML(タワー型)、DL(ラック型)、そしてブレードのBLという3種類があります。ML、DLでは、300シリーズがエントリーモデル、500はミッドレンジ、700以上は8ウェイのマシンなどのエンタープライズ向けの製品となっています。そして、ブレードサーバのBLシリーズには、台数で勝負する1ウェイのeクラスと、SQL Serverの稼働も想定できるpクラスの2つが用意されています。
ZDNet 他社とはどんなところで差別化していますか。
香取 ProLiant Essentials ソフトウェアによるサーバ運用管理のしやすさです。GUIベースで多数のマシンへの一括インストールも可能になる「Rapid Deploymentパック」や、遠隔地からWebブラウザでハードウェアの管理ができる「内蔵Lights-Out」、障害やパフォーマンスの劣化などを表示/報告する「Insightマネージャ7」などにより、人件費も含めて大幅な管理コストの削減を実現できます。
後編では、ブレードサーバを中心に話を聞く。
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[聞き手:怒賀新也,ITmedia]