エンタープライズ:ニュース 2002/11/07 18:38:00 更新


コラボレーションスイートやWebサービスが彩るOracleWorld

カリフォルニア州サンフランシスコで「OracleWorld 2002 San Francisco」が開幕する。昨年は、エリソン会長兼CEOが「Unbreakable Oracle」という力強いメッセージを打ち出したが、今年はOracle9i Database関連の披露は控えめだ。ただし、出荷が始まったばかりの「Oracle Collaboration Suite」や、J2EEとXMLをベースとするOracle9i Application Server Release 2の多彩な機能強化が目を引く。

 米国時間の11月11日、カリフォルニア州サンフランシスコで「OracleWorld 2002 San Francisco」が開幕する。世界経済が依然として暗いトンネルを抜け出せない中、オラクルをはじめとするハイテク企業への市場の評価は厳しい。

「9.11」同時多発テロのわずか2カ月後に開催された昨年は、Oracle9i Databseのリリースもあり、ラリー・エリソン会長兼CEOが「Unbreakable Oracle」(不死身のオラクル)という力強いメッセージを打ち出したが、今年はそのフラグシップ製品も改良版である「Release 2」の出荷にとどまる。

 ただし、幾つか隠し玉も用意されている。10月に米国で出荷が始まったメッセ−ジング統合製品「Oracle Collaboration Suite」もそのひとつだ。

 Oracle Collaboration Suiteは、エンドユーザーの生産性を高めるため、電話のような一般的なコミュニケーションツールやMicrosoft Outlookを使用して、統合された情報へアクセスできるようにするもの。例えば、電話から電子メールを読み上げてもらったり、逆に電子メールを使ってボイスメールをチェックしたりできる。

 また、Oracle Collaboration Suiteは、Oracle9iのインフラをベースとしており、単一の情報リポジトリで構築されているため、大量のサーバを統合することもできる。

 オラクルがメッセージング製品? 多くの読者には奇異に映るかもしれないが、1990年代後半に湧き上がったNC(Network Computer)構想のもと、そのキラーアプリケーションとしてオラクルではグループウェア製品、「InterOffice」の開発を進めていた。

 Oracle Collaboration Suiteは、そうした資産が生かされ、オラクル社内でテストが進められてきたものだ。3年前までは世界で97あった電子メールシステムも、今ではコロラド州とカリフォルニア州のデータセンターに集約しているという。それだけ、アップグレードや保守、管理を行う必要がなくなり、コストも削減できているわけだ。

 7月に同スイートを発表したエリソンCEOは、コラボレーション分野における最大の競合はIBMではなく、マイクロソフトだ、と宣戦布告した。

「ロータスは死につつある。われわれのフォーカスは、マイクロソフトだ。彼らはExchangeのアップグレードで巨額を請求しようとしている。オラクル製品の方がずっと安い」(エリソン氏)

多彩な機能のOracle9iASに注目

 もうひとつ注目していいのは、J2EEとXMLをベースとするOracle9i Application Server(Oracle9iAS)だろう。実は、Oracle9i Release 2で目を引く新機能は、Oracle9i Databaseよりは、むしろこのOracle9iASの方が多い。

 Oracle9iAS R2は、多彩な機能強化が図られている。J2EE 1.3や、Webサービス(SOAP 1.1、WSDL 1.0、UDDI 1.0/2.0)への完全対応など、インターネット標準も取り入れられた。ポータル、Webキャッシュ、ビジネスインテリジェンス、ワイヤレス、およびOracle Internet File Systemの各種機能も統合され、インテリジェントな情報を活用するための完全なE-Businessプラットフォームに仕立て上げている。

 OracleWorldでは例年、主なテーマが日替わりとなっているが、今回は火曜日にOracle9iAS R2の概要が取り上げられ、続く水曜日にはJavaベースのWebサービス構築にフォーカスが当てられる予定だ。

 なお、基調講演の新しい顔として、Linux版Oracle9i RAC(Real Application Clusters)で協業するデルコンピュータのマイケル・デル会長兼CEOが、火曜日に登場することも急きょ決まった。

 OracleWorld 2002 San Franciscoは,米国時間11月11日(月)から14日(木)まで,サンフランシスコのモスコーニセンターで行われる。主なキーノートセッションのスケジュールは以下のとおり。

Monday, November 11

Tuesday, November 12

Wednesday, November 13

Thursday, November 14


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関連リンク
▼OracleWorld 2002 San Franciscoサイト

[浅井英二,ITmedia]