エンタープライズ:ニュース 2002/11/14 18:13:00 更新


Life Sciences Day:オラクル、可能性秘めるライフサイエンスにコミット

11月13日、「OracleWorld 2002」を開催中のカリフォルニア州サンフランシスコで、「Life Sciences Day」が開催された。オラクルでライフサイエンスとデータマイニングを担当するヤセック・マイクズコウスキー副社長はオープニングの挨拶で、ラリー・エリソンCEOの発言を引用し、同社のライフサイエンスへの取り組みが一過性のものではないことを強調した。

 11月13日、「OracleWorld 2002」を開催中のカリフォルニア州サンフランシスコで、「Life Sciences Day」が開催された。同カンファレンスの開催は、昨年のOracle OpenWorld、そして今年のAppsWorldに次ぐ3回目となる。ラリー・エリソンCEO以下、オラクルの幹部がずらりと顔をそろえた昨年に比べれば、その規模は小さくなったものの、会場となったパレスホテルには、100人を超えるライフサイエンス分野の科学者やITプロフェッショナルが集まった。

 オラクルでライフサイエンスとデータマイニングを担当するヤセック・マイクズコウスキー副社長はオープニングの挨拶で、ラリー・エリソンCEOの発言を引用し、同社のライフサイエンスへの取り組みが一過性のものではないことを強調した。

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ライフサイエンスを担当するマイクズコウスキー副社長

「コンピュータ業界はやがて退屈なものになり、1990年代のように多くの企業が生まれるということもないだろう。しかし、ライフサイエンスの前途は開かれており、これから少なくとも半世紀のあいだ、多くの新しい企業や製品、科学までも生み出していくことだろう」(エリソン氏:Bio-IT Magazine,March 2002)

 エリソン氏がライフサイエンスのベンチャー企業に個人の資産を投じていることはよく知られているが、オラクルにとってこの市場が有望なことは、IDCの市場予測によっても裏付けられている。同社の予測によれば、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーキング、ストレージを含むバイオサイエンス市場は年率24%で成長を続け、2006年には380億ドル市場になる。しかも、Oracleデータベースは、この市場で85%という圧倒的なシェアを獲得している。

 ライフサイエンスといえども、直面している課題はほかの産業と共通するものが多い。開発コストを引き下げ、いち早く製品を市場に投入しなければ生き残ることができないのは同じだ。研究から開発、販売に至るエンドツーエンドのライフサイクルで生産性を高める必要がある。

 オラクルでは、研究、開発、製造、マーケティング、販売に至るバリューチェーンのすべてのプロセスを自動化するプラットフォームとして、拡張性や信頼性に優れ、さらに堅牢なOralce9i DatabaseとOracle9i Application Server(AS)を売り込む。

 マイクズコウスキー氏は、データウェアハウスと分析向けのデータベースを別々に管理しなければいけない従来型のアプローチに対して、Oracle9iがデータのロード、変換、格納、分析、およびマイニングまですべて単一のデータベースで行える点を強調した。

 また、バイオインフォマティクスの分野では,外部のWebサイトやデータベース,あるいは構造化されていないテキストデータを活用することも多いが,マイクズコウスキー氏は、Oracle9iが備えるデータインテグレーションの柔軟さについても触れている。

 アプリケーションの統合という点では、Oracle9iASが最新のWebサービス仕様を実装することについて触れ、共同研究者やパートナー、サプライヤーらに対してもWebサービスとしてアプリケーションを提供できるとする。

ジェネンテックがOracle9i RACをパイロット導入

 今回のLife Sciences Dayでは、幾つかの事例が紹介されており、そのトップとしてジェネンテックのスクーター・モリス氏が登場した。彼は、化合物などの発見から薬品の開発、製造、販売まで行う同社で、システムアーキテクチャーを統括している。

 カリフォルニア州サウスサンフランシスコの同社は、2001年に22億ドルを売り上げている。今後も年率25%で成長を続け、2005年には業界トップとなることを目標に掲げる。

 ジェネンテックでは、ヒューレット・パッカードのAlphaServer、Tru64 UNIXとOracleデータベースを組み合わせによってデータベースレイヤの統合を積極的に進めている。管理しやすく、可用性も高められるからだ。

 モリス氏によれば、今のところOracleデータベースのフェールオーバー機能で満足する可用性を確保しているというが、「Oracle9i Real Application Clusters(RAC)もパイロット導入しており、事業上の必要性が高まれば、本格導入を検討する」という。

 Oracle9i RACではロードバランシングが自動的に行われたり、フェールオーバーが2秒以下で行われるとモリス氏は評価する。最も高価なリソースである研究者たちが、データベースへのアクセスを続けられ、生産性が阻害されることがないからだ。

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[浅井英二,ITmedia]