エンタープライズ:ニュース 2002/11/15 18:36:00 更新


基調講演:「オラクルと協力して相互に成長していく」とHPのフィオリーナCEO

OracleWorld 2002 San Franciscoの最終日、午前の基調講演にヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリーナCEOが登場し、同社とオラクルが、相互にパワーアップし合う緊密なパートナーシップを結んでいることを強調した。HPは今後、自律性が特徴のUtilityコンピューティングへと向かう戦略を立てている。

 OracleWorld 2002 San Franciscoの最終日となった11月14日、午前の基調講演にヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリーナCEOが登場し、同社とオラクルが、相互にパワーアップし合う緊密なパートナーシップを結んでいることを強調した。異種混合のオープンな分散環境においても、標準技術を採用した相互接続性の高い、コストの低いシステムの提供を行っていくことを目指し、両社は協力していく。

 フィオリーナ氏は講演の冒頭、「エリソンはどこにいる?」と、ニュージーランドから衛星中継で基調講演を行うオラクルのラリー・エリソンCEOを皮肉り、会場の笑いを誘った。

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「重要なのはプロセッサのスピードでもキラーアプリケーションでもなく、顧客のROITを向上するソリューションの提供」と話すフィオリーナ氏

 同氏は、顧客の要求がROIT(Return On Information Technology)やTCO効率の向上にシフトしていることを繰り返し述べる。同社はコスト効果を高めるために、IA(Intel Architecture)サーバの展開およびItanium 2の開発、J2EE/.NETのサポート、Linux、Windows、HP-UXと3種類のOSを偏りなくサポートしていくこと、Enterprise Virtual Array(EVA)によるストレージにおけるリーダーシップ、ブレードサーバの展開など、標準ベースのビルディングブロックによるシステム提供を心がけているとする。

 コンパックコンピュータと合併したことで、ProLiantなどのIA-32サーバから、インテルと共同開発している64ビットのItanium Server Family(IPF)と幅広いサーバラインアップを実現する。さらに、PDAや元々のコア事業の1つであるプリンタ、ストレージなどもカバーするエンドツーエンドの製品およびサービス展開により、顧客のTCOを削減していくことが、同社の考える顧客主義だ。

 一方、フィオリーナ氏は、オラクルとの関係が20年間にも渡るもので、非常に緊密であることも具体的に示した。例えば、オラクルは自社のItanium 2向けの開発プラットフォームとして、HPの環境を指定している。

 また、J2EEおよびWebサービス向けの戦略的なミドルウェアパートナーシップや、HPとオラクル、インテル、レッドハットが、ProLiant Server上でハイパフォーマンスLinuxを提供するために協業していること、Oracle9i Real Application Server(Oracle9i RAC)がWindows、LinuxおよびHP-UXでもサポートされており、さらに、HPはLinux上でOracleを商用に稼働させる最初のベンダーになったことなど、幅広い協力関係が紹介された。

 さらに同氏は、企業のIT支出の約70%が、管理運用コストに使われているとし、管理性を向上させることでこのコストを削減することが必要だと話した。同氏は、業界でもリーダー的な存在になっている同社の管理ソフトウェア「hp OpenView」をソリューションとして挙げる一方で、ストレージやサーバ、さらにデータセンターをバーチャル化する製品でリーダシップを取っていることにより、顧客企業の資産運用効率を改善できるとしている。

 また、同氏はライバル各社に対して、HPの優位性をアピールすることで釘を指した。デルコンピュータについては、技術の蓄積の点で、サン・マイクロシステムズは標準技術の採用で、HPが優っていると話している。IBMについては、Javaに重点を置いていることを挙げ、HPがデベロッパーの意見を取り入れて、Javaとともに.NETも同様にサポートすることが必要という認識を持っていることを明らかにした。

 今後の展開としては、顧客がビジネス要件に合わせて動的にIT投資を行えるようにすることを目指す「Adaptive Infrastructure」が同社の包括的なビジョンとなる。この中では特に「Utility」および「Grid Computing」がキーワードになる。

 同社は、2001年の11月に「hp Utility Data Center(UDC)」を米国で発表している。これは、複数のデータセンターやストレージなどを1つのシステムとして利用するもの。UDCは、障害の際に自ら復旧したり、パフォーマンスを自動的に改善したりする自律性が特徴。IBMが掲げる「自律型コンピューティング」(少し前までeLizaと呼ばれていた)にも類似するもので、データセンターの資産を常に最適な状態に保ち、運用コストを抑える効果もある。

関連リンク
▼OracleWorld 2002 San Francisco Report

[怒賀新也,ITmedia]