エンタープライズ:インタビュー | 2002/11/15 18:43:00 更新 |
Interview:マーク・ジャービスCMOに聞くオラクルの製品戦略
OracleWorld 2002 San Franciscoでは、メッセージングの統合を行うOracle9i Collaboration Suit、J2EEとXMLをベースとするOracle9i Application Server、また、Oracle9i RACとLinux、ブレードサーバを利用した低コストシステムが紹介されている。同社のマーク・ジャービスCMOが、プレス向けの共同インタビューに応じた。
東京より少し暖かい爽やかな気候のサンフランシスコで、OracleWorld 2002 San Franciscoは順調にスケジュールを終えようとしている。今回は、メッセージングの統合を行うOracle9i Collaboration Suit、J2EEとXMLをベースとするOracle9i Application Server(Oracle9iAS)が注目を集める。また、Oracle9i Real Application Clusters(Oracle9i RAC)とLinux、そしてブレードサーバによる、低コストかつ、データセンターなどのハイエンド分野にも導入できる将来のシステムが紹介されている。
米オラクルのマーク・ジャービスCMO(マーケティング統括責任者)が、これらの製品を中心に同社のマーケティング戦略について、プレス向けの共同インタビューに応じた。
マークジャービスCMO
― Oracle9i Collaboration Suitについては、マイクロソフトのExchangeや、IBMのNotesなどの競合製品がある市場に、遅れて参入するメリットはありますか?
ジャービス あります。Oracleのライセンスは永久であるのに対し、マイクロソフトは3年ごとにライセンスの更新を行う必要があります。特に、今年の12月31日で、Exchange 5.5のサポートが終了になります。つまり、ここで一気に潜在ユーザーが増えるわけです。
また、コストを比べてみても、Exchage 2000 Serverにアップグレードするコストが1ユーザーあたり450ドルかかるのに対し、Oracle Collaboration Suitなら150ドル以下で済みます。3分の1のコストでスイッチできるわけです。
― 機能的にはどうですか?
ジャービス Oracle9i Collaboration Suitは、電子メールやボイスメール、カレンダリングなどを統合し、さらに今後はiMeetingやインスタントメッセージングなどの機能を加える予定です。
これらの機能について私が思うには、マイクロソフトは5年前に実現しておくべきだったということです。今後2年間、マイクロソフトは実際に追加していくでしょう。
― 今回のOracle Worldでは、Linuxへの注力が目に付きますが、どういった理由がありますか?
ジャービス Linuxは成熟してきており、コスト、パフォーマンス、信頼性の点でメリット持っています。経済が低迷する中で、顧客のコスト重視の姿勢に対応したものです。米国市場ではデルコンピュータが力をつけている一方で、SMPにフォーカスするシステムベンダーの中に元気を失ってきているところもあります。
Liniuxはデスクトップ市場でも、Windowsと競争を始めようとしています。これはいいことだと思います。
― 今回のもう1つの目玉製品であるOracle9iASも、BEAのWebLogicやIBMのWebSphereなど、競争の激しい市場での製品となりましたが。
ジャービス 確かにOracle9iASも、既存の競争が厳しい市場での製品ではあります。しかし、アプリケションサーバを投入することで、オラクルのJava製品をアップセルする効果があるのです。また、選択肢が増えけることで、顧客にメリットがあります。顧客は複数の製品を比べてみて、オラクルなりBEAなりの製品を選べばいいのです。
― 今回、プレス向けのブリーフィングで、Oracle9i Real Application Clusters(Oracle9i RAC)をベースにしたクラスタリング環境を、Linuxと、ブレードサーバによる多数のサーバで構築するというビジョンが紹介されました。グリッドコンピューティングを実現する具体的なシステムイメージとも関わってきますが、どのようなメーカー、あるいは、IAやRISCなどどういったCPUを搭載したブレードが、オラクルのソフトウェアを運用するのに適していると考えていますか。
ジャービス あまり知られていないことですが、オラクルはインテルと非常に深いつながりを持っています。ブレードにどんなCPUを採用していくかも、インテルとのつながりで決まってきます。
― サン・マイクロシステムズについてはどのように考えていますか?
ジャービス サンはもっとJavaに対して力を入れるべきです。サンは一般にイメージされるほど実際はJavaに注力していません。
― オラクルが製品を販売する場合、顧客との接点についてどう考えていますか?
ジャービス 顧客には2種類あると考えています。1つは、何を買うかを既に分かっており、より便利に買いたいと望んでいる顧客です。こういった顧客には直販、つまり「Oracle Direct」が有効です。もう一方は、製品についてコンサルティングが必要な顧客です。米国市場では、売り上げの半分は電話あるいはインターネット経由ですが、日本ではまだ少ないようです。今後は日本でも増えていくと考えています。
関連リンク
OracleWorld 2002 San Francisco Report
[構成:怒賀新也,ITmedia]