エンタープライズ:ニュース 2002/11/17 11:20:00 更新


Interview:オラクルのチョウ氏、「蓄積した技術を基にアウトソーシングを展開」

OracleWorld 2002 San Franciscoでは、同社がアウトソーシング事業によって、収益を確保していこうとしていることが紹介されている。米オラクルでアウトソーシングを担当するプレジデント、ティム・チョウ氏は、実際に製品を開発していることが、同社がアウトソーシングで成功するための原動力になると話している。

 OracleWorld 2002 San Franciscoでは、今後同社が、ソフトウェアをサービスとして販売することや、企業の特定業務を切り出してオラクルなどに任せるアウトソーシング事業によって、収益を確保していこうとしていることが紹介されている。米オラクルでアウトソーシングを統括するプレジデント、ティム・チョウ氏がプレスの共同インタビューに応じた。

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自らソフトウェアの開発者であることがオラクルがアウトソーシングで成功する秘訣になると話すティム・チョウ氏

 オラクルのアウトソーシングの取り組みについて、具体的な状況を教えてください。

チョウ オラクルでは、3年前からE-Business Suiteのアウトソースを始めています。米国やヨーロッパ、アジア太平洋など16カ国に、500を超える顧客を持っています。最近の大規模顧客には、ユニキャルやKPMG(ベリングポイント)などがあります。今回話題になっているOracle Collaboration Suitもアウトソーシングによる提供を進めていきます。

 アウトソースする場合は、サービスを提供するサーバはどこに置かれますか?また、顧客はどういった契約形態をとりますか?

チョウ サーバを置くのは米国でも、顧客サイトでも構いません。契約は1年ごとに行うため、ユーザーは柔軟に対応できます。10年などの長期にして囲い込みしたりはしません。それだけ、顧客にメリットを提供できるという自信を持っているのです。

 アウトソース事業を展開するメリットは何ですか?

チョウ 専門化が効くことにより、サービス全体を低コストで展開でき、収益性が高いことです。つまり、アウトソースを請け負うことで、その業務システムについて、担当者は100回、1000回と同じ作業を繰り返します。それだけ繰り返せば自ずと、提供するサービスのアベイラビリティやパフォーマンス、セキュリティ、変化への対応力などは高まります。サービスの質は高まりますが、運営するのは数百人と少ないため、スケールメリットによる収益性が高くなるのです。

ZDNet 日本ではアウトソーシングを展開する企業が必ずしも成功できなかったという状況もあり、アウトソーシングビジネスの収益性を疑問視する見方もありますが。

チョウ アウトソーシングは収益性のあるビジネスです。しかし、技術を持たない者がやって成功するほど簡単ではありません。成功しているのはEDSやIBMなど、専門性を持つ企業です。オラクルはデータベースソフトウェアを開発している企業であり、データベースについての技術は間違いなく最も蓄積されています。それが、オラクルが自信を持ってアウトソーシングを展開する背景になっています。

 日本でのアウトソーシング事業の顧客は現段階でいますか?

チョウ まだ日本にアウトソーシングの顧客はありません。3カ月ほど前に、アジアに拠点を開設したばかりです。

 アウトソーシングを展開する上での課題は何ですか?

チョウ 教育です。啓蒙に近いかもしれませんが、まず、オラクルの社員に対して、アウトソーシングビジネスを身につけてもらうことから始まります。その後で、パートナー企業のメンバーにも教育することが、ビジネスとしてアウトソーシングを成功させる秘訣になると考えています。



関連リンク
▼OracleWorld 2002 San Francisco Report

[構成:怒賀新也,ITmedia]