エンタープライズ:ニュース 2003/02/28 21:17:00 更新


TECH DAYS、Sun ONEにおけるグリットコンピューティング

Sun Super Tech Daysの最終日、28日のセッションの1つでは、Sun ONEプロダクトの1つ「Sun Grid Engine」についてが語られた。コンピュータリソースの効率的な利用方法について、「グリットコンピューティング」の概念から形態までが詳細に解説される。

 Sun Super Tech Days、最終日の28日のセッションでは、Java/Jiniテクノロジー・エバンジェリスト、サング・シン氏が解説する「Sun ONE グリッド・コンピューティング」と題されたセッションが開かれた。

 グリットとは何か、どのような形態があるのか、Sun ONEプロダクトにはどのような展開があるのかなどが語られる。

 「グリットとは、さまざまな資源が集まる機器的なリソースを指すもの」とシン氏は話し始め、グリットコンピューティングとは、限られたCPU資源をいかに共有し、部門間などでスムーズに利用しあえるかがポイントだとコメントする。

 グリッドが重要視される背景には、「多くのコンピューティングパワーは効率よく使われていないことにある。アイドル状態のリソースを効率よく使うためにはどのようにしたらよいのか?」が根本であり、生産性向上が目的となっている。従来であれば、自分の足で空いているマシンを探さなければならず、「必要な時にすぐにでも利用可能なことがグリットの概念」という。

 さらに、パフォーマンスと利便性の面では「どのようにしたらスケーラビリティを実現できるのか」、「フレキシビリティも重要視しなければならない」と語る。

グリットのスコープは3つ

 グリットのスコープには3種類があり、「クラスタグリッド」、「キャンパスグリット」、「グローバルグリット」で構成される。クラスタが最も小規模であり、グローバルが最も大規模なものだ。

 クラスタグリットは、おもに部門別で利用される形態であり、基礎のブロック単位でもある。また、最もリソースを効率的に使えるものであり、小規模のためリソースが限られているからだと解説する。

 キャンパスグリットは、クラスタグリットが集まって構成されるもの。複数の部門で構築され、協力関係でグリットを行いたい場合に利用される。

 グローバルスケールグリットでは、インターネットスコープになり、クラスタを利用し、もう1つの機能としてポリシーを持つ必要もある。セキュリティが必要であり、どのような認証が必要かも重要だ。さらに、アクセスコントロールがグリッドの一部として搭載されていなければならない、という特徴もある。グローバルに展開されるため、ディレクトリサービスが重要という点も忘れてはならない。

クラスタグリットからの移行

 グリットのアーキテクチャは3つの階層に分かれ「コンピュータノード」、「マネージャノード」、「アクセスティア」と構成され、独自のIDを利用する必要性からローカルIDマップが必須だ。

 アーキテクチャモジュールでは4つが挙げられる。まず最初に「セキュリティ」と「リソースマネージメント」。安全なリモートアクセス手段は必須であり、基幹となる部分だ。さらに「インフォメーションプロトコルモジュール」では、コストを把握したり、個別のモジュール情報を知る際に使われる。最後の「データマネージメントサービス」は、顧客や製品に関しての情報を管理するものだ。データサービスがどのような状況であるかを把握するものであり、例えば、ある会社に対し急きょ3倍のリソースが必要となった際には、データ移動させる必要性が起こる。

サンから提供されるグリットプロダクト

 サンのグリットコンピューティングでは、サーバプロダクトとして「Sun Enterprise Server」、「Sun Fire Server」「Sun StorEdge System」などが用意される。サーバ上ではSolaris、そして「Sun Grid Engine Family」が稼働する構成だ。

 さらに、GUI上で操作が行える「Development Tools」だけでなくWeb上でSSLベースのアクセスが可能となるポータル構築も可能となっている。

関連リンク
▼Sun Super Tech Daysレポート
▼サン・マイクロシステムズ - クラスタリング/グリット

[木田佳克,ITmedia]