エンタープライズ:ニュース 2003/03/27 17:37:00 更新


サン、「N1」構想を国内発表し3年で段階実現すると表明

N1アーキテクチャを国内でアナウンス。会見にて山本氏は「サンには現段階でリアルな製品がありバイナリ、パイロット(検証センター)もある」と強調。今後のデータセンターの運用をサポートするプロダクトとして発表された

 データセンター向けのプロダクト「N1」について、サン・マイクロシステムズから国内初のアナウンスが行われた。N1は、データセンター構築から運用に関わる支援プロダクトのこと(関連記事:「サンのN1計画、最初の登場はブレードサーバから」)。

 サンで表現するデータセンターとは、企業内におけるサーバが管理される機関を示す。特に、ISPなどのいわゆるデータセンターに限定されたものではない。


 会見の冒頭では、今後要求されるシステム要件についてが語られた。現状は、おもにコンピュータ内のリソースそのもの(CPUやメモリ、I/O、アプリケーションの管理など)が問われることが多いが、今後はネットワークベースでのWebアプリケーション運用、IPベースでの管理、ネットワーク全体でのポリシーなどがクローズアップされていくという。このような状況下では、ネットワーク機器の一部として、どのような運用を行っていくかが問われることになる。N1構想が真価を発揮できる領域だという。

 現在、データセンターでは管理者がインストール作業やサービス稼働までの手順においては、ノウハウなどに頼る場合が多いと指摘する。例えば、特定のデバイスが自動認識されないといった際には、設定を見直すなどの手間が必要となる。このような構築ノウハウや運用時のシステム監視などは、管理者のノウハウと勘で実現されるわけだ。N1により、このようなノウハウはすべてサンからリリースされる時点でカバーされる見込みだ。

N1アーキテクチャと今後のロードマップ

 会見ではN1におけるロードマップとし3つの層(段階)が解説され、その実現について今後の展開が語られた(「プロビジョニング」については、ガートナー栗原氏のコラムを参照)。

 1つは「インフラの仮想化とプロビジョニング」。これはリソースの配置(セットアップ)から監視、利用率の計測といった構築までに関わるインストール段階のもの。今年度から取り組まれ2003年を目安に拡充される。2つ目は「サービスプロビジョニング」。これはサーバ上で稼働される個々のサービスをいかに要件に応じた形で実現するかというもの。2003年から2004年にかけて具体化される。3つ目は「ポリシーオートメーション」と呼ばれるアプリケーションサービスの自動連携などを実現するものだ。2004年後半から2005年にかけて取り組むという。

 会見でプレゼンを行った同社データセンター・ソリューション事業本部・山本恭典 氏は、「サンはすでに基盤リソースとしてブレードサーバを発表するなど、準備が整っている」と強調し、次に挙げる進行中の取り組みも裏付けだと付け加えられた。

 「N1 Phase-1テクノロジー」として2002年11月15日に買収されたテラスプリング、近日中に公表される「Pirus Networks」が挙げられた。「パイロットプログラム」と呼ばれる取り組みでは、一般的に企業内でのデータセンターにおける異機種混在環境での動作検証がカバーされるものだ。近く国内に検証センターを開設しパートナー共同による動作検証が予定されている。

 具体的な「製品リリース」もN1の基盤となる。米国で2003年2月10日に発表された「N1 Provisioning Server 3.0」は、Webベースのツールが含まれるソフトウェア。XMLベースのFML(Farm Markup Language)によって物理的なリソースを論理構成で自動配置が実現されるという。山本氏曰く「イメージとしては、インストーラの高機能版だと考えればよいかもしれない」という。

 これらのリソースを基に、データセンター構築から運用までをカバーするプロダクトとしてN1が推進されることになる。

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関連リンク
▼サン・マイクロシステムズ

[木田佳克,ITmedia]