エンタープライズ:ニュース 2003/04/26 00:14:00 更新


プロケット・ネットワークス、バックボーン向けテラビット級ルータを発表

昨年11月に設立されたプロケット・ネットワークス・ジャパンは、コアネットワーク向けの高性能、高可用性ルータ「PRO/8000シリーズ」を発表した。最上位機種PRO/8812は転送性能が最高960Gbpsに達する。

 プロケット・ネットワークス・ジャパンは4月25日、都内で記者発表会を開催し、コアネットワーク向けの高速、高信頼性、高可用性ルータ「PRO/8800シリーズ」を発表した。

 プロケット・ネットワークス・ジャパンは、2002年11月に米プロケット・ネットワークス、NTTPCコミュニケーションズ、東京エレクトロン、ネットワンシステムズが合弁で設立したネットワーク機器ベンダー。米プロケットは1999年の設立以来、高度なネットワーク機の開発を続けてきた企業で、シスコ、ジュニパー、サンなどのキャリアを持つそうそうたる技術陣を持っている。

「PRO/8812」

ハイエンドモデル「PRO/8812」


 今回プロケット・ネットワークス・ジャパンが発表した「PRO/8800シリーズ」は、米国でも4月9日に正式発表したばかりの、同社初の製品。日本では2月の「NET&COM 2003」で展示していた。PRO/8800は、1チップで40Gbpsもの伝送性能を発揮する独自開発のプログラマブルLSI「PRO/Silicon」を搭載し、モジュラ構造で自己管理機能を備えるソフトウェア「PRO/1 Modular Service Environment」を採用したことが特徴。

 PRO/8800シリーズには、ハーフラックサイズで最高960Gbpsの転送性能、12億PPSのフォワーディング能力を持つ「PRO/8812」、8分の1ラックサイズで最高80Gbpsの転送性能、1億500万PPSのフォワーディング能力を持つ「PRO/8801」がある。価格はPRO/8812が9700万円からで6月に出荷開始予定、PRO/8801が6400万円からで出荷中。さらに最高320Gbpsの転送性能を持つ「PRO/8804」を開発中となっている。

 PRO/8800シリーズに登載しているPRO/Siliconは、2億トランジスタを集積し、ネットワーク専用プロセッサとして250以上の高速シリアルリンクを束ねることができる。「業界のどの競合製品と比較しても4倍速く。パケットあたりのコストは最も低い」(米プロケットのプロダクトマーケティングディレクター、ブルース・バン・ナイス氏)という。フルプログラマブルで「どのような機能、プロトコルにも対応可能だ」としている。PRO/Siliconは米IBMが製造しており、プロセスルールは180ナノメートル。今後は130ナノメートルに移行するという。

米プロケット・ネットワークスのブルース・バン・ナイス氏

米プロケット・ネットワークスのブルース・バン・ナイス氏


 PRO/1 Modular Service Environmentは、軽量のカーネルの上に機能を束ねるシステムマネージャを置き、ルーティングやマルチキャストなどの各種サービスはさらにその上に、という完全なモジュラ構造となっている。自己監視、自己修復、自己構成、自己防御など自律機能も備えている。「こうした機能も従来のシステムになかった」としている。ナイス氏は「現在のネットワーク機器で使われているソフトは、90年代半ばに作られたがそのときインターネットに存在するホストは2000以下に過ぎなかった。プロケットはインターネットが広がり、ホストが1億6000万を超え、複雑性が高まった後で開発したもの」と、新世代のソフトだと強調した。

 さらに「PRO/Active」と名付けた顧客向けサービスも特徴の1つで、システムの障害はリアルタイムにプロケットに送られ、事例データベースに照会した対処の情報が顧客に送られる、といった、顧客ごとにパーソナライズされた双方向サービスとなっている。

 PRO/8800シリーズルータは、現在世界中の主要なサービスプロバイダや大手企業ユーザ20社以上(企業名は非公開)に試験導入されているとしている。

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[佐々木千之,ITmedia]