エンタープライズ:ニュース | 2003/05/01 22:12:00 更新 |
Keynote:「独自のビジョンを持ち、業界の常識に挑戦を」
米エクストリーム ネットワークスのCEO、ゴードン・スティット氏は基調講演の中で、他人とは異なるビジョンを持つことで革新が生まれると主張した。
「ネットワーキング業界に革新の余地はまだ残っているのだろうか? 革新のサイクルは止まってしまったのだろうか?」
ラスベガスで開催されているNetWorld+Interop LasVegas 2003の基調講演の中で、米エクストリーム ネットワークスのCEO、ゴードン・スティット氏は聴衆に向かってこのように問いかけた。
スティット氏は、業界全体が停滞しているように見えるのは事実だと指摘した。不況がその上に追い討ちをかけているという。「こうした不景気の中では、業界のずっと先を行ったからといって、市場から評価されるわけではない」(同氏)。
スティット氏によると、問題の根本的な原因は「ビジョン」の欠如にある。それも、人とは異なる視点から課題に取り組むビジョンに欠けているからこそ、業界全体がこれほど苦しい状況にあるのだという。
もう1つは顧客に対する姿勢だ。「多くのテクノロジ企業が、顧客へのフォーカスを強調している。しかし顧客の短期的な要望に応えるだけでは、一時しのぎにしかならない」(スティット氏)。そして、真に提供すべきは、その企業独自のビジョンに裏打ちされた長期的な対応だとした。
スティット氏は今回、プレゼンテーションの合間に、さまざまな「だまし絵」を組み込んでいた。風景画だけれどもよく見るとたくさんの人の顔が描きこまれていたり、同じ黒白の影なのに、見方によって男性の全身像に見えたりコップに見えたりする類の絵だ。この意図するところは明白である。つまり「人とは異なるアングルから物事を見、異なる視点から考えることこそ、革新と成功の鍵である」(同氏)。
「人と異なる視点」を強調したスティット氏
数年前、多くの企業は従来型のネットワーク設計の延長線上で高速ルータの開発に取り組んでいた。そのころ、本質的な問題は「より高速なネットワークの実現」にあると見抜いたある新興企業が、発想を転換してレイヤ3スイッチを開発した。それがエクストリームである。結局レイヤ3スイッチは大きな市場を形成し、エンタープライズに簡素で高速なネットワークを提供している。
これと同じことがATMとイーサネットの関係にも言えるという。かつて音声とデータの統合が語られた際には、ATMこそトランスポートに最適だと考えられていた。しかしエクストリームはここでも常識とは反対の方向を目指した。イーサネットでQoSを実現することにより、ATMよりもシンプルで、拡張性を備えた統合ネットワークプラットフォームを実現したとする。
「画期的な革新は独自のビジョンを持った企業から生まれる。大きな進歩はその業界の常識に挑戦する企業から生まれる」(スティット氏)。
3つの変化への備えを
スティット氏はまた、今後3〜5年の間に起こるであろう3つの大きな変化に言及した。
1つめは、ネットワークに接続される機器の数が大きく増加することだ。PCやPDA、電話はもちろん、ストレージ機器、さらには非PCデバイスまでもが1つのネットワークに接続される時代が遠からずやってくるという。
2つめは、新たなアプリケーションの登場である。その例がVoIPであり、立地メディアであり、データマイニングだ。これらのアプリケーションがビジネスの進め方を変えていくことになる。
最後の、そして最も重要なトレンドは、ビジネスにおけるネットワークの役割が変わることである。「ネットワークはただのコミュニケーションツールではなく、事業を進めていくうえで中核となる生産性ツールになる」(スティット氏)。
これらのビジョンを踏まえた上で、スティット氏は、今のうちから行動を起こしておくべきだと述べている。ただし、重要なのはビジョンだ。「革新の背後にあるビジョンにこそ注目すべきだ」(同氏)。
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関連リンク
Networld+Interop LasVegas 2003
エクストリームネットワークス
[高橋睦美,ITmedia]