エンタープライズ:ニュース 2003/07/03 21:20:00 更新


ワーストワンは依然としてKlez――IPA/ISECが上半期の届出状況を公開

IPA/ISECは7月3日、2003年上半期と6月のコンピュータウイルスおよび不正アクセスの届出状況を公開した。引き続き「Klez」がワースト1となっている。

 情報処理振興事業協会セキュリティセンター(IPA/ISEC)は7月3日、2003年上半期のコンピュータウイルスおよび不正アクセスの届出状況をまとめ、公開した。

 これによると2003年1月から6月にかけてのウイルス届出件数は7366件。前年同期の1万1567件に比べると約36%の現象となった。ワースト1のウイルスは「Klez」で、2630件とダントツの多さだ。以下ワースト5位までのランキングは次のとおりとなっている。

順位ウイルス名種類特徴
1Klez2630件情報漏洩(データファイル送信)
2Sobig719件差出人アドレス詐称
3Bugbear664件バックドア(侵入口)作成
4Fizzer543件バックドア(侵入口)作成、P2Pで拡大
5Redlof467件本文を見ただけで感染

 ワースト2位のSobigや同4位のFizzerは、特にセキュリティホールを悪用するわけではなく、添付ファイルをクリックすることで感染するタイプのウイルスだ。この結果を踏まえてIPA/ISECは、ウイルスチェックを行わなまま安易に添付ファイルを開かないよう呼びかけている。

 もちろん、既知のセキュリティホールを悪用するウイルスには、パッチやサービスパックを適用するなどして修正しておくしかない。IPA/ISECはこれら2つの基本的な対策を徹底するよう、改めて呼びかけている。

 一方、6月単独でのウイルス届出件数は1401件。5月の1458件に比べても、また前年同月の1965件に比べても減少した。とはいえ、今回届け出件数の多かったウイルスには、差出人アドレスを詐称するウイルスが多いことに注意が必要という。

 というのも、Klezをはじめとするこれらのウイルスが送りつけるメールでは、送信者として、ウイルスに感染してしまったPCのハードディスク内にあるファイルからランダムに選び出されたアドレスが利用されるからだ。このため、実際にウイルスに感染している本人とは連絡を取るのが困難だ。また、本当は感染していない人に大量の警告メールを送るという事態も発生しており、引き続き注意が必要という。

無線LANへの侵入も報告

 一方、2003年上半期の不正アクセス届出件数は208件。前年同期の409件に比べ半分近くにまで減少した。うち、実害があった届出は65件だ。

 6月だけを見ると、不正アクセス届出件数は43件。中でも特筆すべきは、セキュリティ設定を施さずに無線LANを利用していたところ、第三者に、パソコンに音楽や映像などのファイルを保存されてしまったというケースだ。IPA/ISECでは個人向け企業向けそれぞれに無線LANセキュリティ設定上の注意をまとめているので、一読をお勧めする。

 またこの中には、依然として古いバージョンやパッチを適用していないことが原因となり被害を受けたケースが13件含まれている。ワームやウイルスへの感染を防ぐ意味でも、また不正アクセス対策という意味でも、最新パッチの適用は欠かせないと言える。

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関連リンク
▼IPAセキュリティセンター(IPA/ISEC)

[ITmedia]