エンタープライズ:インタビュー | 2003/07/16 22:16:00 更新 |
Interview:CAのクマーCEO、「今後も日本市場への投資を続ける」
CA World 2003でオンデマンド・コンピューティングへの取り組み強化を表明したCA。サンジェイ・クマーCEOに、販売戦略や技術動向、日本市場の位置づけについて聞いた。
ラスベガスで開催されているCA World 2003で、Computer Associates(CA)では、ITインフラを電気や水道のように利用するオンデマンド・コンピューティングが同社の戦略として強調された。ソニーとの提携の背景やテクノロジーの今後の動き、同社における日本市場の位置づけについて、サンジェイ・クマーCEOに聞いた。
サンジェイ・クマーCEO
ZDNet 今回のCAでは、製品の販売チャネルに関して、パートナーを通じたセールスを拡大することが強調されました。具体的な考えを聞かせてください。
クマー 2つのポイントがあります。1点目は、パートナーが販売額に応じてリベートをもらえるようなプログラムを導入したことです。売り上げが高ければ、それだけ多くのリベートをもらえるわけです。2点目は、パートナーがより多くの異なったプロダクトラインを販売できるようになったことです。
ZDNet ソニーとの提携発表がありましたが、どのような狙いがあるでしょうか?
クマー ソニーとの提携は非常に重要です。ソニーは今現在もストレージのビジネスが優れており、特定産業で強みを発揮しています。一方で、CAの製品はもっと水平展開できる製品であり、両者を組み合わせれば、もっとビジネスを強化できると考えています。
また、ソニーと提携するということは、CAが日本のストレージ市場に力を入れているということを示す効果があります。
業界では企業統合が進んでおり、今後もほかの企業との提携関係を模索するかもしれません。
ZDNet 日本市場をどう位置づけているでしょうか?
クマー 日本は今も非常に大きな市場ですが、成長は極めて鈍化していると認識しています。状況はマクロ経済が改善しない限りよくならないと思います。しかし、多くのユーザー企業があるため、今でも日本市場には投資をしています。
ZDNet CAはパッケージソフトウェアによる販売と、ハードウェアにバンドルして製品を提供する形態のどちらを取るのでしょうか?
クマー 主にパッケージソフトウェアになると思います。一般に、顧客はCAがデバイスから独立したソフトウェアを提供することを期待しているからです。ただし、ストレージデバイスなどに、CAのバックアップソフトウェアをバンドルする形態もあり、将来的には、提携などを通してこれが増えてくるのではないかと考えています。
ZDNet オンデマンドコンピューティングやサーバの仮想化など、テクノロジーの将来について教えてください。
クマー オンデマンドコンピューティングは一夜で実現するものではありません。ある程度の時間をかけながら進歩するものです。まず、顧客はハードウェアの利用率を高めていくという要求を持っており、それを表明することが第一段階です。
次の段階では、顧客はサービスレベルコンピューティングを求めてきます。つまり、どのアプリケーションをどのコンピュータで走らせるのかということが、動的にサービスレベルによって決定されていくのです。
顧客がエンドユーザーに何を確約したかによって、自動的にリソースの割り振りなどが決定します。これが第2のフェーズです。
そして、仮想サーバが第3段階です。これは物理的にどのサーバが稼動しているかを隠蔽し、仮想化するものです。ハードウェアが一つの大きなエンジンになるために、ソフトウェアがある層を作らなくてはいけないのです。
まだまだ多くの作業が必要です。ハードウェア会社が担うこともありますし、アプリケーション企業がやることもあります。CAも貢献しなくてはいけません。
その結果、顧客は、ハードウェアやソフトウェアをどう使うかを考えた際に、柔軟な決定ができるようになるので、これはいいことだと考えています。
ZDNet SME(Small Medium Enterprise)市場にはどう取り組むでしょうか?
クマー SME市場にはほとんどがパートナーを通じた販売になると思います。CAのパートナーセールス戦略がそのようにできているからです。CA本体としてSME市場までも網羅するほどの規模には成長できないと考えています。ただ、場合によっては、CA製品を簡素化したバージョンを作る可能性はあります。
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[聞き手:怒賀新也,ITmedia]