エンタープライズ:ニュース 2003/08/05 23:10:00 更新


コラボレーション基盤として強力さ増す、SharePoint Portal Server 2003の実力

あらゆる企業規模に対応できるスケーラビリティと柔軟性を備えた。「Microsoft Tech・Ed & EDC 2003 YOKOHAMA」では、コラボレーション基盤として強化されたSPS 2003に関するセッションが複数開かれた。

 「SharePoint Portal Server(SPS) 2003」は、コラボレーション基盤として、企業レベルの大規模展開を意識した柔軟な拡張性を兼ね備えた。「Microsoft Tech・Ed & EDC 2003 YOKOHAMA」では、SPS 2003の展開に関するセッションと、シングルサインオンによる企業アプリケーション統合についてのセッションが開かれた。

 展開のついてのセッションでは、福田和博氏(マイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッド・オフィスグローバリゼーション開発統括部プログラムマネジャー)が、「エンタープライズでの展開に求められるものは、企業ニーズに応じた柔軟性とユーザー数の増加に対応する拡張性だ」と、SPS 2003がサポートしたサーバファーム構成を紹介した。

 企業アプリケーション統合に関するセッションでは、御代知克氏(マイクロソフト・エンタープライズサーバビジネス本部シニアテクノロジースペシャリスト)がSPS 2003の備えるEAI(Enterprise Application Integration)機能を説明した。

 企業の情報共有基盤として動作するSharePointテクノロジーは、3層構造のアーキテクチャで構成される。最下層のデータベース(DB)にSQL Server、その上にWindows Server 2003およびその標準コンポーネントのWindows SharePoint Services(WSS)、そして最上位のSPS 2003だ。SPS 2003はWSSと同一の技術プラットフォームとなり、WSSの機能をすべて内包。加えて、企業規模のポータルを構築するための機能を搭載した。

SharePointテクノロジーの構造

SharePointテクノロジーの構造


 SPSに追加される主な機能には、Webパーツと呼ばれるアプリケーションをテンプレート上に割り付け、情報の一元的なビューを提供する「ポータル機能」、ドキュメントライブラリや画像ライブラリといった「文書管理機能」、Exchange ServerのパブリックフォルダやActive Directory(AD)のユーザープロファイルまでも含めた「統合検索機能」の3つが挙げられている。

 企業内ポータルの展開となると、組織の規模などに応じた柔軟な展開が不可欠となるが、SPS 2003では前出の階層構造と分散可能なコンポーネント(Webレンダリング、DB、検索、インデックス)により、柔軟なスケールアップを可能とした。

 「負荷増加時にはコストの安いWebサーバを追加すればよく、データが増加すればSQL Serverにストレージを追加する。そして障害復旧を考えれば、SANという形に対応できる」(福田氏)

 複数ファーム間で共通するユーザープロファイルなどといったデータは、共有サービスを利用することで、無駄なリソースの浪費を防ぐことも可能だ。また、すべてのデータがSQL Serverに保存されるため、可用性向上を目的としてWebサーバの追加する場合のデータ複製を行う必要もない。

 福田氏は、1万ユーザー以下の小規模から中規模組織に対してはアクティブ・パッシブのフェイルオーバーでDBサーバを2台儲け、インディックスサーバ1台、Webと検索機能を持つサーバを2台用意するシングルファームを紹介。また、部門が自由にカスタマイズできるチームサイトとカスタマイズさせないで企業の情報配信ポータルそれぞれで、ファームを構成するやり方などが考えられるという。

 数万ユーザーという大規模組織では、Web、検索、インデックス、BDと機能ごとに専門のサーバを構築するといった方法をとる。

 これら大規模展開を支える管理機能もSPS 2003には整っている。IT部門の管理ではすみずみまで対応できない場合のエンドユーザーへのサイト管理権限委譲、使用してないサイトの通知・削除、ウイルス対策設定などといったことが可能だ。管理は通常Webベースで行うが、コマンドラインインタフェースからも行えるという。

フロントで企業アプリを統合するSPS 2003のEAI機能

 SPSはEAI機能として、シングルサインオン(SSO)をサポートする機能も持っており、フロントでの企業アプリケーション統合が可能だ。御代氏のセッションでは、EAIの側面から説明が行われた。

 「ポータルにアプリケーションを統合する最終目標は、利用者の利便性の向上し生産性を高めることにある。利用者の作業に必要な情報を1つの画面に集約し、個々の情報が動的に連動する。そういったことがSPSではできる」(御代氏)

 具体的には、SPSはSSOデータベースとSSOオブジェクトを提供する。SSOデータベースはWindowsアカウントと企業アプリケーションのアカウントがマッピングされたもので、SSOオブジェクトはSPS 2003にサービスを提供するものだ。SSOオブジェクトは.NETのマネージドオブジェクトとなるため、SPSのWebパーツや.NETアプリケーションなどからも利用できる。

SOAアーキテクチャ

SPSでのシングルサインオンアーキテクチャ


 既存アプリケーションをポータルに統合するには、SSO連携Webパーツを利用すると御代氏。SPSは、ユーザーのセッションからWindowsアカウントを自動判別するため、アクセス対象となるアプリケーションのアカウント情報をSSOデータベースに問い合わせ、SSO連携Webパーツがシステムへのログイン要求を出す仕組みだ。

 DBなど外部データとの連携には、DetaView Webパーツを使う。DB接続のほか、XMLファイル、サーバサイドスクリプト、Webサービスとの連携が可能だ。DetaView Webパーツは、「FrontPage 2003」のデータソースカタログを利用すれば、コードを書かずにデータ取得の設定ができるという。

 外部データとの連携という点では、Officeから提供される機能としてOffice Webパーツもある。これはExcelのスプレッドシートやグラフなどの機能をWebパーツ化、データ取得サービスと結びつけて、SPS上で利用できるもの。

 また、バックエンドシステムとの連携もBizTalk Server 2002を介すことで可能になる。それを実現するには、Web Services Adaptor for BizTalkを利用して、SPSのWebパーツから直接BizTalkを呼び出す形になる。SSOの実現には、セキュリティを確保するためにSSOチケットを利用した仕組みを採用している。

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[堀 哲也,ITmedia]