エンタープライズ:ニュース 2003/08/06 17:40:00 更新


マイクロソフト新社長、ソリューション志向への移行を打ち出す

既にWindows Server 2003日本語版ローンチイベントで実質的なデビューを飾っているマイクロソフトの新社長が、改めて就任の記者会見を行い、ソリューション志向への移行など、新機軸を打ち出した。

 8月6日、都内のホテルでマイクロソフトのマイケル・ローディング新社長が就任記者会見を行った。ローディング氏は2001年3月からアジア太平洋地域担当のバイスプレジデントとして東京に着任し、今年2月に日本法人が単独地域として昇格したのに伴い、日本担当バイスプレジデントとなっていた。7月1日の社長就任から既に1カ月が経過しているが、6月25日に行われたWindows Server 2003日本語版ローンチイベントで実質的なデビューを飾っている。

 記者会見でローディング氏は、18枚からなるスライドを使いながら、マイクロソフトの進化の源である「原則」について説明しながらも、製品志向からソリューション志向への移行や、パートナーらとのエコシステムによって魅力的なソリューションの開発という、これまでの日本法人には見られなかった新機軸を垣間見せた。

 「われわれは顧客の痛み(問題)に対処し、それを解決していく。これは大きな変化であり、顧客も歓迎してくれるだろう」とローディング氏。

 彼のリーダーシップの下、既にエンタープライズ事業を担当するチームの評価は、顧客満足度や、成功裏に導入できたか、といった戦略的な尺度を重視するよう切り替えられているという。

 「顧客が確実にITの価値を享受できるようにすることが大切だ」と彼は話す。

 マイクロソフトは、ITの世界ではインフラ、しかもソフトウェアという限られた領域でビジネスをしている。確かに単体製品のコストパフォーマンスも重要だが、それも全体のTCOからすれば、数パーセントに過ぎない。彼らの強みは、Windows Serverシステムを核として緊密に統合化されたソフトウェアスタックにある。

 主要な取締役らとともに記者会見に同席したエンタープライズ事業担当取締役の平井康文氏も、「(IAサーバとWindows Serverシステムという)ローコストのプラットフォームにパートナーのアプリケーションを載せ、トータルソリューションを迅速に提供することで、企業がTCOを引き下げ、ROI(Return on Investment)を高めることに貢献できる」と話す。

 お決まりの「Linux脅威論」に関する記者からの質問に対しても、ローディング氏は、統合化された技術革新こそ差別化のポイントと指摘した。

 「われわれにはソリューションとしての明確なロードマップがあるが、Linuxにはそれがない。複雑な作業をユーザーやシステムインテグレーターに強いるものだ」(ローディング氏)

 調査会社のような第3者機関によるレポートは、Linuxの隠れたコストを指摘しており、TCOの点でも実はWindowsシステムに軍配を上げている。

 「GPL(GNU General Public License)は技術革新を損なうものだ。知的財産立国を目指す日本は、リスクがあることを認識すべきだ」ともローディング氏は付け加える。

 Windows Server 2003日本語版の出荷から2カ月が経過したが、平井氏によれば、Windows Server製品に占める最新バージョンの出荷比率が50%に達しており、順調な滑り出しだという。

関連記事
▼業界挙げてWindows Server 2003の船出を祝う
▼Windows Server 2003発売レポート
▼Windows Server 2003 Launch Event Report

関連リンク
▼マイクロソフト

[浅井英二,ITmedia]