エンタープライズ:ニュース 2003/08/07 18:10:00 更新


Keynote:「マイクロソフトはWebサービスの実現者」

5日に開幕した「EDC 2003」に続き、7日には「Tech・Ed 2003」がパシフィコ横浜で開幕。米Microsoftプラットフォーム戦略グループのリーブス氏は、Webサービス時代の開発環境の展望について講演した。

 8月7日午前、パシフィコ横浜で開催中の「Microsoft Tech・Ed & EDC 2003 YOKOHAMA」において、米Microsoftプラットフォーム戦略グループ、ジェネラルマネージャのクリフ・リーブス氏によるTech・Edのキーノートスピーチが行われ、Tech・Ed 2003がスタートした。EDCが、企業におけるITインフラの運用や管理に主眼をおいているのに対し、Tech・Edは、Windowsを中心としたITシステム構築の最新技術にフォーカスしている。

 リーブス氏の基調講演のタイトルは「可能性の扉を開く〜開発環境におけるITの新たな展望〜」。講演内容は5日のEDCの基調講演と重複する部分も多かったが、急速に標準化が進むWebサービスの世界において、マイクロソフトが提供する.NET Frameworkが開発者にもたらすメリットについて説明した。

米Microsoftプラットフォーム戦略グループ、ジェネラルマネージャのクリフ・リーブス氏

米Microsoftプラットフォーム戦略グループ、ジェネラルマネージャのクリフ・リーブス氏


 リーブス氏は、現在のような経済状況下では投資対効果(ROI)を最大化することが求められているとし、そのためのITインフラの条件として、「業界標準技術を基盤とする」、「特定プラットフォームに拘束されない」、「プロトコルとフォーマットをベースとした契約関係を持つ」、「疎結合プログラミングを実現」、「既存システムを維持しながら互いを結ぶ」、「さまざまな業界をサポートする」を挙げた。その上で、機能指向からプロセス指向へ、長期スパンでの開発から迅速な開発へ、特化したシステムから柔軟性のあるシステムへ、既知の実装から抽象概念へ、などというように、サービス志向アーキテクチャ(SOA)へのシフトの必要性について触れた。

 このようなITインフラでの技術の標準化において、マイクロソフトはWebサービス関連の標準化を目指し、WS-IフォーラムをIBMなどと立ち上げている。現在WS-Iフォーラムには何百社もが参加しており、「ITのインフラを提供するプレーヤーであって、WS-Iフォーラムに参加していなければ、取引はできない」と言う米Merrill Lynchのシステム担当者の言葉を紹介し、業界に広く受け入れられたとアピールした。「マイクロソフトは、Webサービスの単なるビジョナリストではなく、その実現者でもある」(リーブス氏)

 基調講演の中で、Webサービスを利用した大規模システムの例として、NECの社内基幹業務システム「GAUSS」を紹介した。GAUSSは、VisualStudio.NETの早期適用によって、開発された大規模システムで、2002年8月のカットオーバー以来、ほぼ1年間に渡って安定して稼働しているという。GAUSSは、ASP.NETの高開発生産性をフル活用したWebアプリケーションとなっており、独自のWebコントロール群を追加したり、アプリケーション作成ウィザードを追加したりしているという。

 GAUSSでは、Webブラウザを使うシンクライアントだけでなく、Accessを使ったリッチクライアントによる利用にも対応している。これは、業務内容によってはリッチクライアントの方が有利な場面もあるという、適材適所の考え方から対応させたもの。ただ、リッチクライアントといえども、システムへのアクセスはもちろんWebサービスを利用している。

 マイクロソフトは、Webサービスをうまく活用することで、さまざまな開発手法がサポートできるうえにシステムとしてつぶしのきく高い柔軟性を持ち、Microsoftプラットフォームに縛られない接続製を実現できると、Webサービスベースのシステムのメリットをアピールした。リーブス氏によれば、全世界にWebサービスを使ったシステムの開発者は700万人おり、そのうち250万人がVisualStudio.NETを利用しているという。「マイクロソフトとしては、Webサービスに最適なOSを作り、アプリケーションを作っているが、(企業ITシステムにおいては)異機種の中にあることも意識し、ほかのシステムとの接続製も考慮している」(リーブス氏)

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関連リンク
▼Tech・Ed & EDC 2003 YOKOHAMA公式サイト
▼Windows.NETチャンネル
▼Web Services Interoperability Organization

[佐々木千之,ITmedia]