エンタープライズ:ニュース 2003/09/17 23:22:00 更新


「ENUMは電話の世界とインターネットの世界をつなぐ」、実証実験のための団体設立

ENUMを用いた通信サービスの実証実験を目的とした団体「ENUMトライアルジャパン(ETJP)」が設立された。

 「ENUMは電話の世界とインターネットの世界に接点をもたらすものだ」――9月17日に設立された「ENUMトライアルジャパン(ETJP)」の会長に就任した後藤滋樹氏はこのように述べる。

 ENUMとは、簡単に言ってしまえば電話番号(E.164番号)でDNSに問い合わせを行い、その番号に対応した通信相手とアプリケーションを得るための仕組みだ。検索キーとなるのは電話番号だが、返ってくる応答には、ニーズや状況に応じて電話のほか電子メールやWebページのアドレスなどを適用することができる。

 IP電話やVoIP用の規約というと、H.323やSIPといった他のプロトコルが思い浮かぶが、ENUMはこうした既存の仕様と対立するものではない。IP電話網の一括集中管理を支援し、さまざまなアプリケーションを統一的に見せるものだという。沖電気工業IP電話普及推進センターの千村保文氏は、電話の世界にDNSの仕組みを持ち込むことで、「使い慣れた今までの電話番号を用いて、人に優しいコミュニケーションを実現するもの」だとENUMの意図するところを説明した。

 このENUMはRFC2916で規定されたものだが、仕様策定作業にはIETFのみならずITU-Tも参加している。これを踏まえオーストリアをはじめ複数の国では、既にENUMのトライアルに着手している。

 この日設立されたETJPは、日本国内で同様にENUMを用いた通信サービスの実証実験を行い、技術的検証と課題の洗い出しを行うことを目的とした団体だ。JPNICと日本レジストリサービス(JPRS)、WIDEプロジェクトが発起人となり、通信事業者やネットワーク機器ベンダーなど20の企業・組織が参加している。

 ETJPでは2004年10月までをめどに、3つのフェーズに分けて実証実験に取り組む計画だ。まず11月いっぱいまで予定されているフェーズ1では、最小構成のENUM環境を構築し、通信機器やアプリケーションの動作検証を行う。続く第2フェーズでは、階層的なENUM DNSを構築し、通信サービスの動作検証を行う予定だ。2004年4月に予定している第3フェーズでは、ユーザーを含んだ通信サービス全体の動作検証を行うほか、諸外国で実施されているENUMトライアルとの連携が計画されている。一連の実験結果はETJPのWebサイトなどを通じて公開される。

 このトライアルでは、ENUMに沿った問い合わせと応答がきちんと動作するかという技術的な検証に焦点が置かれている。ETJP会長の後藤氏は、「ENUMにはいろいろと課題がある。例えばセキュリティがそうで、より『個人情報』に近いものが載ってくることから被害が顕在化するおそれもある。商用化をにらめば、電気通信事業者法をはじめ制度・運用上検討すべき課題も多い」と語る。利用モデルの明確化やメール、SIP対応アプリケーションなどとの連携も検討課題に含まれるだろう。その上で後藤氏は、一連の課題に取り組む前提としても、まずはトライアルを通じた技術的な検証が必要だと述べている。

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▼ENUMトライアルジャパン(ETJP)

[高橋睦美,ITmedia]



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