エンタープライズ:ニュース 2003/10/07 15:51:00 更新


SGIがLinuxとUNIXのソースコードを比較

米SGIは、これまで行われていなかった、Linuxカーネル2.4.21とSCOが著作権を持つUNIX System Vリリース4.1ソースコードの徹底的な比較を実施した。そしてその結果をLinuxコミュニティーへ公開書簡として公開した。(IDG)

 Silicon Graphics(SGI)が先ごろ公表したLinuxコミュニティーへの公開書簡によると、同社はLinuxカーネルとSCO Groupが所有するUNIX System Vのソースコードについて広範な比較を行ったようだ。

 カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置くコンピュータメーカー、SGIでソフトウェアを担当するリッチ・オールトメイアー副社長によって作成されたこの書簡によると、同社はLinuxカーネルとUNIX System Vのソースコードの「徹底的な比較」を実施し、その結果、SCOのソフトウェアに「関連があると言えなくもない」コードセグメントが見つかったが、それは「取るに足らない」分量にすぎないという。

 同書簡はさらに、SGIがXFS(eXtensible File System)のコードをLinux OSに不正に提供したとするSCOの主張に異議を唱えている。

 SCOはこの数カ月間、「Linuxのソースコードを徹底的に検査した結果、当社のUNIX System Vのコードベースがそっくりそのままコピーされているソフトウェアが見つかった」と主張している。Linuxコミュニティーはこういった主張に反論しているものの、これまで両OSの広範な比較を実施したという者はいなかった。

 ユタ州リンドンを本拠とするSCOは最近、SGIがソースコードをLinuxに不正流用したとして、SGIへのUNIXライセンスを終了すると通告した。SGIの公開書簡はこれを受けたもの。SCOは今年、同様の理由によりIBMに対するAIXのライセンスを終了すると発表した。SCOは現在、この件でIBMを相手取って30億ドルの賠償請求訴訟を起こしている。

 SGIによると、コードの比較は、オープンソースの推進者であるエリック・レイモンド氏が開発した「Comparator」ソフトウェアや自社で開発したツールなどを使って行った。SGIは、SCOからライセンスしたUNIX System Vリリース4.1のソースコードと、今年6月にリリースされたバージョンのLinuxカーネルを比較したという。

 SGIで企業マーケティングを担当するグレッグ・エステス副社長は、取材に対して電子メールで「この調査は、われわれがLinuxに提供したコードにフォーカスしたものだが、Linux 2.4.21カーネルに対してComparatorを実行した。この作業では、ツールで特定した類似点を客観的な判断基準に基づいて比較した」と答えている。

 エステス氏によると、SGIによる比較のポイントは、UNIX System Vと、SGIがLinuxカーネルに提供したコードとの間で一致個所がないか調べるというもので、Linuxコミュニティー全体を代表してソフトウェアの検証を行ったわけではないという。「ほかの企業が提供したコードについては、われわれは一切関知しない」(エステス氏)

 SGIは今年の夏に、オープンソースに提供したコードについて最初の調査を実施しており、オールトメイアー氏の書簡によると、SGIが提供したコードの中の3つの「短い部分的コード」が、SGIがSCOからライセンスしたUNIX System Vのコードと一致していることが、その調査で分かったとしている。

 「これらの3つのコードは全部で200行にも満たない」とオールトメイアー氏は書簡に記している。

 「調査で見つかったSystem Vの部分的コードの大部分もしくは全部が、以前にパブリックドメイン化したようだ。これは、これらのコードの所有権がSCO Groupにあるのかどうか非常に疑わしいことを意味する」(同書簡)

 8月25日にリリースされたLinux 2.4.22以降、問題のコードはもうLinuxカーネルには存在しない、と書簡には記されている。

 その後、SGIは9月に、より包括的な比較を行った。「SGIは、Linuxカーネルの中に少しでも関連性が認められるコードがほかにないか判断するために調査を継続した」オールトメイアー氏は書簡の中で述べている。

 この比較の結果、そのままコピーされている例が数カ所見つかったが、そのコードはSCOが所有するものなのか、それともパブリックドメインに属するものなのかは判断できなかったという。「UNIXコードと関連があると言えなくもないコードセグメントが新たに数カ所見つかった」とオールトメイアー氏は記している。ただし、これらのセグメントは「取るに足らない量」だとしている。

 SGIは新たに見つかったコードセグメントの詳細を明らかにしていないが、Gartnerのアナリスト、ジョージ・ワイス氏によると、SGIの調査でLinuxとSystem Vとの間でコードの大幅な重複が見つからなかったのは、Linuxユーザーにとって朗報だという。

 「これはLinux陣営にとって強力な援護射撃だと思う」とワイス氏は話す。しかしSCOの著作権の主張に反論するには、もっと詳細な情報が必要だという。「この書簡を見る限り、調査が完璧と言えるかどうか疑問だ」と同氏。

 ワイス氏によると、Hewlett-PackardやIBMなど、ほかのSCOライセンシーも同様の調査を実施し、その結果を公表すればいいという。

 「このようにLinuxコードを徹底的に調査すれば、丸ごとコピーしたのかという疑問に答えることができるかもしれないが、それでSCOのすべての申し立てに対抗できるわけではない」とワイス氏は付け加える。

 SCOの主張によると、UNIX System Vをベースとして開発された派生的コード(SGIがLinuxに提供したXFSコードなど)や、SCOのUNIXとほとんど同じ「不明瞭化された」コードなどもLinuxに含まれているということだ。こういった主張に対しては、SGIが行ったような調査では反論することができない、とワイス氏は指摘する。

 ワイス氏は、オールトメイアー氏の反論はSCOの主張の切り崩しにつながるとして、今回のSGIの対応策を高く評価する。「これまで私が見た中で最も素晴らしい対応の1つだと思う。SGIは感情的になってSCOに罵声を浴びせるのではなく、SCOの主張を検討するという建設的な姿勢で対応した」と同氏は話す。

 SCOのスポークスマン、ブレーク・ストーウェル氏によると、SGIが問題の3つのコードを入れ替えたというだけでは、当社は満足できないとしている。「これらは既にLinuxに含まれてリリースされている。パッチを適用していない多数のマシンは、今でもUNIX System Vのコードの恩恵を受けているのだ」と同氏は話す。

 SCOのコードがそのままLinuxに提供されたものは何であれ、「取るに足らないものではない」とストーウェル氏は付け加えている。

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