エンタープライズ:インタビュー 2003/11/28 21:46:00 更新


Interview:JBuilder XでStruts、JBossを味方につけたボーランド、Enterprise Studio 7で統合完了へ

Javaプラットフォームで新版JBuilder X 日本語版を出荷するボーランド。米BorlandでJBuilderプロダクトマネージャを勤めるアクセル・クラテル氏に、同社の開発統合についてを聞く。

 ボーランドは「Borland JBuilder X 日本語版」でオープンソースとの協調を果たし、Java開発ツールにおける1つの方向性を示した(参考記事)。商用ツールこそがスタンダードと押しつけず、幅広い層に開発統合の在り方を問う。

 さらに2004年第一四半期には、設計プロセスを担う「Borland Together」統合の「Borland Enterprise Studio 7」日本語版をリリースし、統合環境をより広範囲へと強化させる予定だ。これにより、2002年までに行われたTogether Softや(参考記事)、Starbaseの買収(参考記事)によって手に入れたソフトとの統合が一段落する。開発面で核となる最新版JBuilder Xを中心とし、米BorlandのJBuilderプロダクトマネージャ、アクセル・クラテル氏に聞いた。

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米Borland、JBuilderプロダクトマネージャのアクセル・クラテル氏


クラテル 現在、JBuilderとStudioは1つの製品として捉えられています。そして2つの製品統合によって、Studioのモデリング機能がJBuilderに含まれたようにも見えるでしょう。ユーザーインタフェースにも改善があります。JBuilderへは、ドラッグ&ドロップで容易な画面遷移定義も可能となっています。

 JBuilder Xは、市場でのJavaデベロッパー層に対し、さまざまな層に機能提供できるものです。ウィザード主体の初心者層から、Strutsデザイナーを利用するような層なども幅広く対応できます。これには、パーソナリティというコンセプトが一躍買っており、使い勝手を各開発者の好みのものへと変更できるからです。このパーソナリティによるカスタマイズ機能以外にも、JBossサポートが大きな点です。

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市場でのJavaデベロッパー分布を示すクラテル氏。JBuilder Xのパーソナリティが、スキルの異なる開発者を幅広くカバーできると自信を見せる


ZDNet Enterprise Studio 7 for JavaではTogetherが完全統合と発表されています。JBuilder Xの統合環境にTogetherが加わるとイメージしてよいのでしょうか。

クラテル 使い手によってJBuilder XにTogetherが加わった、あるいはTogetherにJBuilder Xが加わったと見え方が異なるでしょう。それほどまで完全統合されているのだといえます。機能から見ればファイルブラウザやプロダクティビティ、モデリングが加わったり、JBuilderのIDEがTogetherに入り込んだようにも見えるでしょう。

ZDNet JBuilder XはUSでの発表からそれほど日を置かず、日本でも発表されました。これは戦略的なものでしょうか。

クラテル 理想をいえば、各地で同時出荷を目指したいところです。RTMと関わっており、翻訳作業はこの段階から始まっているもののどうしても時差が出てしまいます。

 今回日本で発表した段階では、出荷が12月19日になるものの、かなり早い段階で公表したこともあります。これまではリリース前のアナウンスを発売直前に行っていましたが、試みとして変えてみました。

ZDNet JBuilder Xには、Enterprise、Developer、Foundationと用意されますが、日本ではない「WebLogic Edition」はどのような製品でしょうか。

クラテル BEA WebLogic Server向けの開発ツールです。BEAのJDKも統合されているものです。

ZDNet JBuilder XではDoJa 1.5完全サポートとありますが、JBuilder Mobile Editionとは棲み分けされるのでしょうか。

クラテル JBuilder XにもDoJaが組み込まれているため同じものだといえます。Mobile Editionはドコモ以外のプラットフォームも想定されており、ノキア、エリクソンなどの携帯コンテンツ開発環境も含まれています。

 モバイル市場に関しては、プラットフォームベンダーが率いるものですが、JBuilderはユーザーばかりでなくベンダーにも受け入れられるツールだといえます。

ZDNet J2EE 1.4がリリース間近ですがボーランドでは何らかの動きを始めていますか。

クラテル アプリケーションサーバベンダーが採用し始めることで意味あるものとなるため、直接の動きはまだありません。製品リリースには直接つながらないものの、研究を重ねているという段階です。

ZDNet JBuilderユーザーへの調査で最も多かった要望がカスタマイズ機能だと聞きました。ほかにはどのような要望があったのでしょうか。

クラテル 最も多い上位のものは今回のJBuilder Xに取り入れました。中でもJBossサポートへのリクエストはかなり多かったものです。StrutsデザイナーもBorConで強い要望を受けました。ユーザーからは、久しぶりによい製品が出たという意見も聞かれています。

ZDNet Enterprise Studioはソフトウェア統合によるゴールに位置するリリースかと思えました。さらに上となる構想もあるのでしょうか。

クラテル Borlandでは常に目標を掲げてプロダクトリリースを行っていくよう心がけています。今回の製品が決してファイナルであるというわけではなく、答えとしてはイエスでもありノーでもあります。現在市場には、Studio製品に近いものはありません。われわれの達成よりも市場への影響がより大きなものになると期待をしています。



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[聞き手:木田佳克,ITmedia]