エンタープライズ:レビュー 2003/12/22 08:55:00 更新


レビュー:Red Hat Enterprise Linux 3のライセンス形態を探る (1/3)

レッドハットはRed Hat Enterprise Linux 3に加え、店頭販売用のProfessional Workstationをリリースした。しかし従来のオールマイティなRed Hat Linuxとは異なっていた。高額な対価を支払ってもEnterprise Linuxへ移行するべきだろうか。

 レッドハットは、既報の通り今までのRed Hat Linuxのプロダクトを廃止し、完全な企業向け商用ベンダーへと転じた。Red Hat Linuxがこれまで行ってきた最新のテクノロジーを取り込む試みは、「Fedora Core」としてオープンソースに委ねられた(参考レビュー記事)。今後のレッドハットはブランド力を生かし、安定と信頼性を掲げる「Red Hat Enterprise Linux」(Red Hat Professional Workstation)で統一される。Red Hat Enterprise Linux AS、ESが企業向け、Red Hat Enterprise Linux WSとRed Hat Professional Workstationがデスクトップ(コンシューマ)向けと位置づけられた。

 ターゲットは異なるが、いずれもRed Hat Enterprise Linux 3がコアとなっている。

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図1■レッドハットが関わるLinux製品の販路比較


 Red Hat Enterprise Linux(以下、Enterprise Linux)は、これまでバージョン2.1としてリリースされていたが、2003年11月に新しい「バージョン3」にアップデートされた。また、Red Hat Linux廃止を機に、デスクトップ向けとしては「Red Hat Professional Workstation」(以下、Professional Workstation)が加わった形だ。この記事では、従来のRed Hat Linux 9とProfessional Workstationの違い、そしてEnterprise Linux 3と密接に関連するProfessional Workstationは、何が異なるのかを検証した。

 筆頭した通り、Professional Workstationの主要コンポーネントはEnterprise Linux 3をベースとしている。従来のRed Hat Linuxのコンパイルパッケージはi386ベースであったが、Professional Workstationのコンパイルパッケージはi686となっているものが多い。

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画像1■RHEL3ではi686ベースでパッケージされているものが多い


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画像2■パッケージされているLinuxカーネルは、2.4.21-4.0.1.ELsmp(SMP対応のもの)


 これは、Enterprise Linuxベースに移行した証であり、カーネルやライブラリが刷新されたためだろう(この点については少し複雑なので、後述する)。Red Hat Linux 9と比較してもFedora Core同様に軽快感が増している。細部を付け加えると、Red Hat Linux 9初期のパッケージでは動作に問題があったi865+ICH5(FSB800)のような新しいマザーボードでも、インストール段階でサポートされている。

RHL系列からEnterprise Linuxへはアップデートできず、新規インストールのみ

 Red Hat Linuxプロダクトは廃止されるので、レッドハットを継続するユーザーはEnterprise Linuxへ移行することになる。だが、ここにひとつ問題がある。Red Hat Linuxからのアップデートができないからだ。カーネル、主要コンポーネントが多数入れ替えられ、違いが大きすぎるようだ。Red Hat Enterprise Linux 2からのアップデートのみをサポートしている。コンシューマ向けのProfessional WorkstationでもインストールはEnterprise Linuxとして行われる。

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画像3■インストールの最中にはRed Hat Enterprise Linux WSと表示される


 Red Hat Linuxの環境にProfessional Workstationをインストールする場合も、既存のLinuxパーティションは削除、フォーマットしようとする。/homeや/etcといったディレクトリを単独のパーティションに独立マウントしていれば、最低限フォーマットせずにファイルを残すことはできる。筆者がテストしたところ、クリーンインストールしたばかりの環境を一切フォーマットせず、上書きインストールすることはできた。だが、リリースノートにもあるように従来のRHL系列でコンパイルされたプログラムが確実に動作するとは限らない。そのままユーザーがどのようにパーティション管理していたかにもよるが、RHL系列のように単純なアップデートができないことは注意してほしい。

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画像4■従来とは異なるEnterprise Linux独自のカーネル


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[渡辺裕一,ITmedia]

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