エンタープライズ:ケーススタディ 2003/12/26 05:06:00 更新


新日鉄、自動車メーカー向け鋼板SCMソリューションにアイログのエンジンを採用

アイログは、新日鉄ソリューションズが新日本製鐵向けに開発した自動車鋼板SCMソリュ−ションに、アイログの最適化製品が採用されたことを明らかにしている

 ソフトウェアコンポーネントを提供するアイログは、新日鉄ソリューションズが新日本製鐵向けに開発した自動車鋼板SCMソリュ−ションに、アイログの最適化製品が採用されたことを12月24日に明らかにしている。生産プロセスを最適化エンジンで効率化することで、在庫削減や歩留まり率の向上を実現した。

 同自動車鋼板SCMは、新日鉄とその最終顧客である自動車メーカー間の生産および物流にかかわる主要なプロセスをカバーするSCMソリューション。業務プロセスの効率化や生産ロット集約による生産性向上、在庫圧縮などの生産、物流の最適化を目的として構築された。

 自動車鋼板生産では、注文仕様の多様化、最終需要のぶれ、モデルチェンジや設計変更による注文変動、注文ロットに比較して圧倒的に大きな製造ロット、納期と品質保持の厳格化、長い製造工程、非定常作業によるハンド対応、といったさまざまな特徴が挙げられる。

 これに対し、工場などの現場では、実績の変動に計画が追いつけない、前後工程の分断により重複業務の発生、実態の変化への対応に柔軟性がとれない、定量的な評価が難しい、在庫レベルが高い、小ロット注文により生産効率が悪化するといった問題が発生していた。

 同システムでは、徹底したデータの電子化と情報システムの活用、ビジネスプロセスの効率化、サプライチェーン内のデータや情報の一元化と共有化、ならびに最適化シミュレーションシステムの実現により、これらの問題に対応した。このうち、最適化シミュレーションシステムに、アイログの最適化製品が採用した。

母材設計と板取を最適化

 構築段階で最適化シミュレーションシステムの要件は、複雑な構造を持つデータをハンドリングできること、複数資材と複数母材間において板取ベースの一貫引当を実現し、財源バランスを素早く求めることなどだ。

 こうした要件を解決するツールとして、アイログの最適化製品であるILOG Solver、ILOG CPLEX、開発環境を提供するILOG OPL Studioが採用された。

アイログの最適化製品群は、さまざまな最適化モデルを実装している。自動車SCMの最適化シミュレーションシステムにおいては、母材設計の最適化などを実現した。これは、同一品質の鋼材から製造可能な製品群(ブラケット、フレーム、インナーパネルなど)のサイズと所要量から、歩留まりが最適となる大きさの母材を設計するもの。最適化製品により、母材設計段階においては、歩留まりの良い母材を自動的に設計することが出来るようになったとしている。

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