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2004/02/05 00:03:00 更新


セキュリティにフォーカスした戦略で差別化要素を生み出すエンテラシス

2月3日、タイのパタヤにて開催した「ENTERASYS Networks ROARS」の基調講演にエンテラシスのセールス&サービス部門をワールドワイドで統括するコス執行副社長が登場、間もなく一般公開される同社の新戦略について、一足早くプレビューを行った。

 2月3日、タイのパタヤにて開催した「ENTERASYS Networks ROARS」で、コス・サンチューロ氏が基調講演の壇上に登場した。同氏はワールドワイドのセールス&サービス部門を統括する執行副社長。そのキャリアの多くをIBMで積んでいるほか、EMCやSonicwallでも働いたことがあるという。IBM時代には日本でも2年半ほど働いている。

 そんな同氏がエンテラシスの新しい戦略でありソリューションでもある「Secure Networks」をパートナーに対して紹介した。

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エンテラシスのセールス&サービス部門をワールドワイドで統括するコス執行副社長


 コス氏によれば、現在のネットワーク業界は、機器のコモディティ化が進み、規模の経済性で勝負が決まってしまう状況にあるという。つまり、低価格化がシェア獲得の鍵であり、どのベンダーも他社に追従、悪く言えば似たりよったりの機能しか搭載していない。また、企業の統合などもこれらを推し進めている一因であるという。

 そういった状況で、他社と差別化できるシナリオの例として、無線やVoIPなどの市場が考えられるが、これらの市場は利益率の問題や、現状で大きなシェアを持つシスコとの互換性を重視する必要があり、あまり得策ではないという。そして、たどり着いた答えがセキュリティの分野なのだ。

「ネットワークセキュリティではない、セキュアなネットワークだ」

 コス氏が今回紹介した「Secure Networks」を同社の定義に従って表現すると、「既存のセキュリティ機器を補ってビジネス体制全体を強化する、統合されたスケーラブルなコネクティビティおよびデータ通信のソリューション」となる。

 この新戦略を一言でまとめるなら、これまでは解決できなかったセキュリティに対する顧客の提案を解決することで、単純な価格性能比の比較でのベンダー選定という従来からの差別化を図るものだといえる。

 同社の「Secure Networks」は、ポリシーベースのサービスを中心としたソリューションで、IDSやファイアウォール、VPNなどのセキュリティ技術を補完するものであり、かつ異種混在環境であってもそれを問題としない。

 コス氏が「ネットワークセキュリティではなく、セキュアネットワークである」と話すように、ネットワークのためのセキュリティソリューションではなく、ネットワーク自体をセキュアに、つまりは、セキュリティ上の危機となる何らかのアタックに対しての防御策を極力自立的に行おうとするものである。特に、LAN内部のネットワークセキュリティは、エンテラシス以外に対処しているベンダーはないとし、それらも全てカバーする今回の戦略によって、十分な差別化につながるとしている。

「セキュリティの問題は、現在も、そして今後もCEOやCIOが重要視しているものだ。彼らは自社のビジネスを止めないことが大事なのであって、無線LANのカードが一枚いくらなどといった話には興味ない。私たちは、競合ベンダーが明日実現するといっていることを、今実現できる唯一の企業なのだ」(コス氏)

 実は同氏は、新戦略の要となる部分についての紹介も行っている。しかし、今回のカンファレンスはあくまでパートナー向けであり、オフィシャルに発表されるまでは公表できない部分も存在する。オフィシャルな発表も近日中に行われる見込みなので、その時に、要となっている部分の紹介も含めた全体像をお知らせできるだろう。

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[西尾泰三,ITmedia]

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