ケーススタディ
2004/02/06 23:11:00 更新


UFJ銀行、基幹システムはLinuxでコンポーネント化する

OSDLジャパンの「Linuxユーザーエグゼクティブセミナー」で、UFJ銀行の村林聡氏が講演を行った。

 OSDLジャパンが2月7日に開催した「Linuxユーザーエグゼクティブセミナー」で、オープン系システムで基幹系システムをリプレースする銀行として注目されているUFJ銀行のシステム企画部長、村林聡氏が講演を行った。「今後はLinuxプラスIAサーバの組み合わせを基本にする」など、同社のシステム構築の現状や今後の方向性について説明した。

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UFJ銀行の村林氏

 UFJ銀行のシステムオープン化は、1994年のTFS(トレーニングフロントシステム)まで遡る。1996年にリスク管理および経営情報管理分野でのUNIX採用、その後も、チャネルの多様化、顧客利便性向上といったニーズに応えるため、ATMの365日稼動などの取り組みを行ってきた。印鑑オンラインや振り込みイメージ処理、新商品や投信の窓販など、業務プロセスの改革において、オープンシステムを積極的に採用してきた。

 そして今、同社はUNIXからのリプレースにおいてLinuxに注目している。現在UFJ銀行をはじめとするUFJグループの共通システム基盤である「総合金融プラットフォーム」がLinuxベースで稼動している。これは、企業向けに金融情報配信サービスや、デリバティブ関連システムなどを提供するもの。

 同システムは、ハードウェアにブレードサーバのイージェネラ「BladeFrame」、データベースは「Oracle9i Real Application Clusters」、アプリケーションサーバには「BEA WebLogic Server 8.1J」が採用されている。

 村林氏が指摘するLinux採用のメリットは価格性能比。「2分の1のコストで性能は2倍。価格性能比は4倍になる」と話す。「銀行にとってデータベース(DB)は命だが、(米エヴァンスデータの調査結果から)負荷が大きくなるにつれてLinuxの方が効率が良くなる」ことから、DBから導入を始めたという。

 また、LinuxはPCからメインフレームまで稼動させることができること、J2EEに準拠していればUNIXからの移行も容易であることも評価。複数のシステムのOSをLinuxで統一し、運用管理コストの削減を図った。

「今後もLinux採用プロジェクトを推進し、基幹系システムをコンポーネント化する」(村林氏)

実際はまだ不十分

 同氏は、Linuxにはまだまださまざまな留意点があると指摘するものの、「メインフレーム、UNIXともに登場時は不完全だった」と、ポジティブな考え方を示した。新しい技術もユーザーが活用することによって改良され、新たなニーズにも対応できるようになるという。

 具体的な留意点としては、トラブル発生時の責任範囲が挙げられた。ディストリビュータ、ハードウェアベンダー、システムインテグレータなど、システム全体に関わるプレーヤーの間で、責任の所在を明確にしておくことが必要だ。また、TCO削減への過剰な期待も禁物。システムに占めるOSのライセンス費用はごくわずかであり、ミドルウェアや各サーバをトータルで見なくてはならないと述べた。

「コスト削減だけではなく、本当にやりたいことが何かを考えることがLinux導入を成功させる鍵になる」(同氏)

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[怒賀新也,ITmedia]

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