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2004/02/17 19:43:00 更新


スマートダストへの準備はOKか? 来るトラフィック過多にNC 2004でイェン氏が問う

ネットワークコンピューティングは止まらない。NC 2004でイェン氏は、データセンターの今後は高度な処理能力と簡略化を問うことが急務だと語った。

 17日、「Network Computing 2004 Spring」(以下、NC 2004)が東京・ホテルニューオータニで開幕した。18、19日には、デベロッパーに向けた「Java Technology Conference 2004」が開催される。

 NC 2004の基調講演には、米Sun Microsystemsからデビッド・イェン執行副社長が招かれ、同社のビジョンについてが話された。イェン氏は米Sun Microsystemsで「ビジョンの父」と言われている人物だ。

 同氏は今回の講演で、ビジョン、ハードウェア(プロセッサ)の方向性、そしてOpteronをなぜ重要視するのかを明らかにした。「これからは64ビットコンピューティングの世界が到来する。準備は整っているだろうか?」と冒頭で来場者に訴え、来る64ビットコンピューティングのビジョンを語り出した。

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イェン氏はスループットからネットワークへとつながるコンピューティング環境を語る


 同社、グレッグ・パパドポラスCTOが語るように、サンのビジョンには「Aware Enterprise」というテーマがある。昨今、ネットワーク上ではデバイスがどこにあるのか、何ができるのかがしっかりと認識されつつあるという。そして、スループットコンピューティングがネットワークコンピューティングにも通ずるものだと、サンのビジョンがいっそう現実味を帯びていることを強調する。

ソリューションは増加する一方、データセンターの対応が急務になる

 今後約8年間で、ネットワークデバイスには10億ものデバイスがつながることが予想されている。そのような際、現行のシステムでトラフィックの「挑戦に応えることができるだろうか? 」とイェン氏。

 アクセスがデータセンターに集中する際、膨大なデータ量をどのように処理すればよいのかが、今後大きな課題になるという。そしてこれまでとはサービス内容が異なり、時間軸でさえ変わる可能性があるという。データセンターの役割は、変わってきていることを認識しなければならず、その準備ができているだろうか? と、今後のデータセンターの在り方を問う。

 「近未来、身の回りにはスマートダストと呼ぶ無線センサが至る所に存在するようになり、広大なネットワークが形成されるだろう。さまざまな環境を把握し、すべてのトラフィックが流れる個所にはスマートダストが配置されるのだ。今やソリューションの可能性は広がる一方なのだ」とイェン氏はネットワークコンピューティングの近未来を語る。「スマートダスト」は、超小型無線LSIタグとも言われ、微小化デバイスとして知られているものだ。

 事例として米国での貯蔵タンク監視が挙げられた。タンクの状況はリアルタイムに把握され、少しでもおかしな予兆があれば察知できるという。このようなソリューションは、今後身近なところでますます多くなっていくはずだ。

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身近なところでネットワークソリューションが浸透し始めている


 そして、SPARCとの引き合いでインテルプロセッサについて触れ、PCを増やし続けなければならない同社のアプローチを疑問視する。「今後、テクノロジーのブレークスルーがない限り、軽視できない問題点になるだろう」。さらに、「経済面でも問われることも明らかだ。新しい別のアプローチが必要だ」とイェン氏

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SPARCを基盤として、Opteron(x86)をエッジとして固めていくビジョンを明らかに


スループットコンピューティングがネットワークコンピューティングに通じる

 アファラウェブシステムズ買収により獲得した「スループットコンピューティング」が、今後のキーとなるはずだと語る(関連記事)。これは、そもそもがアイドル状態のCPUサイクルを活用する概念であり、スレッド構造が重要視されているものだ。そして、視野を広げていけばプロセッサ(PC)間にはネットワークが存在する。データがPCを通じてトラフィックへとつながる関係にあるという。

 現在のネットワーク処理形態は、ネットワーク管理とコンピューティングの両方にプロセッサパワーが割かれ、マルチタスクが実現されている。このパワースイッチには無駄が多いという。特定のネットワークやり取りですべてのパワーを利用できない場合、パケット再送が生じる。この繰り返しになればネットワークは悪化する一方だ。これこそが非効率性の言及だと語る。

 このコンセプトはネットワークに通じ、「どのようなタイプのサービスが利用されるかを予想し、処理を的確に行う必要性があるのだ」とイェン氏。これをスループットシステムと呼び、プロセッサとネットワーキングの間にボトルネックは存在しないことが理想なのだという。

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[木田佳克,ITmedia]

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