レビュー
2004/02/27 16:00:00 更新


レビュー:WebアプリからEJB開発まで対応する「Borland JBuilder X」 (1/3)

Javaアプリケーション統合開発の核となるボーランドのJBuilder。最新版では、StrutsやJBossとの連携を深め開発者を支援する機能が多数搭載された。

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2wayテクノロジーを採用するBorland JBuilder X


 Borland JBuilder Xは、Windows、Linux、Soralisで動作するJava統合開発環境だ。スタンドアロンアプリケーションやJavaアプレットはもちろん、WebアプリケーションやEJB開発にも対応する(ボーランド製品紹介ページ)。

 統合開発環境のメリットは、開発者の手間の軽減とデバッグの容易さにある。ここでは、Borland JBuilder X(以下、JBuilder X)におけるWebアプリケーションの開発機能を中心に、開発者の作業が、どの程度軽減されるのかを見ていこう。

2Wayテクノロジーによる開発

 Javaにおける一般的な開発形態は、純粋にコードだけを記述すれば良いというわけではない。データベースからオブジェクトへのマッピング、アプリケーションを実行するための設定ファイルとなるXMLファイルの記述、そして、Webアプリケーション開発であれば、HTMLタグやタグライブラリを利用したJSPファイルの記述など、Jコーディング以外に行うべき作業も多い。これらの作業を簡潔にすることが、作業効率の向上につながる。

 JBuilder Xは、まさにそのような作業効率の向上をサポートするための統合開発環境として位置づけられる。

 そして、JBuilder Xはボーランドの「GUIで編集するとコードが即更新され、コードを編集するとGUIも即更新される」という2Wayテクノロジーに対応している。そのため、簡単な変更はGUIで、より複雑でカスタム化された変更はコードを直接編集する、という2種類の編集方法を取ることができ、作業の効率化を図れるのだ。なお、先ごろ発表されたTogether Edition for JBuilder X Developerを組み合わせれば、さらにUMLを含めた3way形態にもなる。

 JBuilder Xには、「オブジェクトギャラリ」と呼ばれるオブジェクト(クラス)の雛形を作る機能がある。開発者はオブジェクトギャラリから目的のオブジェクトの種類を選び、自動生成されたクラスの雛形に必要なコードを記述していけばよい(Fig.1)。たとえば、クライアント向けのスタンドアロンアプリケーションやJavaアプレットならば、Fig.2のようにSwingなどのJavaBeansを貼り付けてユーザーインタフェースの設計ができる。データベースと連携したJavaBeansも用意されているので、データベースアプリケーションの開発も容易だ。

 先に説明したように2Wayテクノロジーにより、GUI環境で貼り付けたJavaBeansはコードに反映され、またコードを変更すれば、GUI環境にも反映される。もちろん、GUI環境のみならず、コーディング時の支援機能も充実している。「.」を入力したときに備えているメソッドの一覧が表示され、入力を支援するのはもちろん、コードを瞬時に文法チェックし、エラーがあれば「!」マークが表示される機能なども備えている(Fig.3)。

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Fig.1■オブジェクトギャラリ。カテゴリ分けされた代表的な種類のオブジェクトが並ぶ。選択すると、ウィザードが起動し、必要なクラスが自動生成される


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Fig.2■JBuilder Xによるユーザーインタフェースの設計例。必要なJavaBeansを貼り付けるだけで必要なコードが作られる


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Fig.3■コーディング時の入力支援やエラーチェック


 Fig.3の画像は、「.」を入力すると、そのオブジェクトに備わるメソッド一覧が表示される例だ。protected属性など呼び出せないものは取消線が引かれて表示される。エラーがある箇所は「!」マークが表示される。この機能によって、変数やオブジェクト名などのスペルミスはもちろん、カッコの対応が合わないとか、「;」が抜けているなどの軽微な文法上のミスも、コンパイルする前に分かる。

Webアプリケーションの開発

 近年のJava開発は、スタンドアロンアプリケーションやJavaアプレットではなく、Webアプリケーションが中心だ。JBuilder Xでは、Webアプリケーションの開発でもGUIを利用した開発ができる。JBuilder XでWebアプリケーションを構築する時には、オブジェクトギャラリからWebモジュール(War)を新規作成する。

 この際、Webモジュールの新規作成時にはJSPやServletのバージョンを問われる(Fig.4)。ちなみに、JBuilder Xではプロジェクトのプロパティにおいて、コンパイルに用いるJDKのバージョンを変更することも可能だ。開発環境とサーバの実行環境が異なる場合でも、開発したWebアプリケーションが動作しないといった環境の違いによる問題を抑えられる。

 Webモジュールの作成では、さらに、どのようなタグライブラリを使うのかも選択可能だ。タグライブラリには、後述するStrutsもサポートされている(Fig.5)。

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Fig.4■JSPとServletのバージョンの選択。バージョンをきちんと決めることにより、実稼働環境で動かなくなってしまう問題を防げる


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Fig.5■タグライブラリの選択。CocoonやStrutsもサポートされている。ただし、CocoonサポートはEnterprise Editionのみ


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[大澤文孝,ITmedia]

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