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2004/03/04 18:11 更新
J2EEの理解をビジネスユースへと広げ出した日本IBM
IBM Software Solution 2004が東京・六本木で開催された。Javaをサンと共に先導するリーダーといえる同社は、J2EEを幅広い層へと理解してもらうべく、セミナーを行った。
日本アイ・ビー・エム主催のプライベートカンファレンス「IBM Software Solution 2004」が東京・六本木ヒルズで開催された。3月11日(木)には、大阪・ホテルニューオータニ大阪でも予定されている。
午前にはソフトウェア事業部長、三浦浩執行役員によるゼネラルセッションが開かれ、午後には、日本アイ・ビー・エム、ソフトウェア事業テクノロジー・エバンジェリストの米持幸寿氏から「企業システムの基盤にJ2EEが選択される10の理由」と題された講演が続いた(米持氏による関連特集)。
この講演での目的は、「なぜ企業でJ2EEが注目されているのか、選択される10項目を挙げ理由づけていく」というものだ。昨今Javaの優位性が問われる中、J2EEの持つ難しいイメージを打破すべく企画されたものだろう。会場には、主にプロダクトマネージャ以上と思われる参加者が目立った。
米持氏から示された10項目は次の通り。すべてにおいて一貫されたコメントは、信頼性、オープン性、運用コストなど、IBMが掲げるポリシーと重なるものばかりだ。
理由1:アプリケーションが長寿命
理由2:プラットフォーム選択が自由
理由3:一企業にコントロールされない
理由4:完成されたアーキテクチャ
理由5:大規模システムのアーキテクチャ
理由6:基幹システムのプロが育てた
理由7:ベンダーに対する信頼感
理由8:開発生産性が高い
理由9:アプリケーションの維持コストが安い
理由10:市場が形成されている
昨今、J2EEが基幹採用へと広がりを見せる中、それでもまだ.NETに及ばない面として、ビジネスユースへの理解、浸透度合いがある。この領域へのアピールこそが、いまJ2EEベンダー共通に課せられているいちばんの命題かもしれない。中でも、米持氏から挙げられた理由の筆頭、アプリケーションのライフサイクル問題は、参加者の心を最初からつかんだはずだ。従来までのメインフレームを中心とするシステムでは、リプレース、そしてWeb上でデータを生かしていくために、大々的な変更とコストが伴う。一方、J2EE準拠で構築をしていけば「将来に渡るシステム運用と拡張性がオープンスタンダードの基、維持できる」と米持氏。もちろん統合によるシステム包括も含まれる。
ユニークなものとして、米持氏からは、醤油を管理するためにEJBを用いるという話も飛び出した。その客先とのやり取りからは「醤油を貯蔵する樽は200年使うもの、EJBは200年使えるのか?」という問いを受けたという。このような事例においても、一企業がバージョンアップのたびにAPIの互換性変更が伴う方向性を示したり、プラットフォーム、さらにはハードウェア動作環境に依存するバイナリ生成は、後々の運用に大きく関わるとの見解だ。この点は、オープンスタンダードが崩れない限り維持されていくだろう。米持氏は、「万が一、採用していたJ2EEベンダーが崩壊したとしても、ほかにも容易に移行できるはず」と、徹底的な互換性を強調した。
事実、J2EEの動作環境となるアプリケーションサーバは準拠されたコードであればベンダーを問わずコードを行き来させることができる。米持氏からは、「たとえIBMでなくても、場合によっては他社のアプリケーションサーバを利用してもよいのです」と、J2EEの裾野を広げるべく思い切ったコメントも飛び出したほどだ。
前述したようにビジネスユースへのアピールは、2004年、Javaベンダー共通の課題だろう。Java Specification Request(JSR)207がその象徴でもあり、ビジネスプロセスのモデリング、自動化、分析を容易に実現可能な環境土壌として注目されている。J2EEとはいえ、今までのようにデベロッパーやトップのプロダクトマネージャが理解していればよい、という段階を打破すべく、次なるタームへと移行しつつあるのだ。
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[木田佳克,ITmedia]
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